約 1,837,545 件
https://w.atwiki.jp/jyumawiki/pages/2691.html
スーパーロボット大戦 攻略 PSP / 第2次スーパーロボット大戦Z破界篇
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/84.html
戦場の帰趨 ◆ZimMbzaYEY コックピットハッチを開き砂中に埋もれた機体から一人の男が顔を出す。周囲を見渡し敵がいないことを確認すると装甲の確認に入る。 いたるところに銃痕が散らばりあちらこちらにへこみが見えている。資材か何かあれば補強したほうがよさそうな感じではある。 だが先ほどチェックした内部システムと合わせてみて戦闘に問題はなさそうだった。 ただしEN残量には気を配る必要がありそうだ。 パチパチパチ・・・とスイッチが規則的に入り小気味いい音をたてていく。 「システム、異常なし。よし!ブラックゲッター、起動する」 黒いゲッターは再び起動する。その進路は東南東、目的地はG-6基地。 地中から姿をあらわしゲッターは行動を開始した。 「まったく補給ポイントってなどこにあるんだ?」 愚痴をこぼしながらモンシアは南下していた。 仮に補給ポイントを見つけられなくともG-6地区の基地には何かしらの資材がおいてあるだろうとの算段での南下だ。 補給ポイント見つからないこと以外は順調。既にG-5地区まで移動し目の前には大きな川が流れている。 近くには橋も見当たらない。 「やれやれ・・・浅いといいんだがな・・・」 ため息をつくとヘビーアームズは川に入っていった。 E-5地区の橋を渡りF-5地区南東から森林に足を踏み込んだバーニィは川を越えてくるヘビーアームズを目撃する。 背中にヒヤッとしたものを感じたが相手の動きに変化はない。 こちらのレーダーに反応がないことからおそらく相手のレーダーもこちらを捉えてないものと推し量れる。 大丈夫。まだ見つかってない。心を落ち着ける。 仕掛けるか? 先の戦闘と外見からさっするに相手は中・遠距離砲撃戦の機体。こちらは近距離格闘戦中心の機体。加えてさっきは近づくことすらできなかった。 ならばここはやりすごして逃げるか? 敵機の進路方向から推測するに目的地は一緒。おそらく目的も同じ補給だろう。戦闘痕も見て取れる。つまり相手も疲弊しているということだ。 ここでむざむざと相手に補給を譲って次に会うときこちらが不利になる必要はない。 仕掛けるべきか・・・仕掛けぬべきか・・・。仕掛けるべきだろうな――― そう決めると川を渡り終えD-5地区へと向かっていく敵機の尾行を開始した。 ヘビーアームズが周囲の様子をうかがう。汗が頬を伝って滴り落ち、鼓動が早くなる。緊張が体を支配する。目標から・・・目が離せない。 (大丈夫、相手に不自然な動きはない・・・大丈夫) (まだ見つかってない・・・平気だ・・・) 『大丈夫』『平気だ』と相手が周囲を気にするたびに何度も何度も自分に言い聞かせる。 尾行開始から約二十分。すでに森林は抜け二機はG-6基地内へ入り込んでいた。 建物の影に身を潜めレーダーに写らないように距離をとって目標を追っていく。 身をかがめつつ用心深く建物の角を曲がると左前方に開けた土地と小型の箱のような装置が目に入った。補給ポイントだ。 一瞬気を取られたが急いで視線を標的に戻す。しかし、そこにいるはずの標的は姿を消していた。 「あぶねえ。あぶねえ。なんつー索敵範囲の狭さだ」 無数にある建物の陰に身を隠したヘビーアームズの中、モンシアは一人愚痴っていた。いつの間にか後ろにつかれていたことがどうにも気に食わない。 まぁ、それも気づいたからよしとすることにしてモンシアは今後の方針を自問する。 (さてと・・・どうしますかねっと、モンシアさんよぉ・・・) 決まっている。危ないストーカーさんにはご退場いただくのみである。 一度こちらを襲ってきた相手。戦闘開始前に通信をつなげ降伏を促す必要も気もなかった。 一度残弾を確認し相手の様子をうかがう。こちらを見失って若干慌てている様子が見て取れた。 はじめるか―― そう腹をくくった瞬間にはもうホーミングを放っていた。そして、相手の回避行動を見極めてガトリングガンの掃射を浴びせる。 その後も絶えず射撃ポイントを変えこちらの位置を悟られないようにしながら建物の影に隠れた敵を炙りだし誘導していく。 絶え間なくゲッターの装甲は火花を散らす。しかし、そのことごとくは装甲の表面で弾かれていた。その様子を見てモンシアは憎々しげに呟く。 「チッ!予想通りやっかいな装甲だぜ」 遠距離射撃からは致命傷を与えられないことは半ば予想通りだった。 残弾が多ければ話は別だが(戦闘後補給をおこなうことを前提としても)、 いつまでも雨あられと打ち込めない現状相手にそれなりの損傷を与えるためには零距離射撃しかなかった。 そのための接近の手段はもう考えている。 あとは仕掛けるときを待ちつつ敵を追い込むだけだった。 断続的な銃撃にさらされゲッターは翻弄されていた。しかも絶え間なく移動しているのか発射位置の特定も難しい。 しかし、これでいい。敵機は補給ポイントを探していた。それはつまり残弾かENの残量が少ないことを意味している。 補給ポイントを確認した今惜しみなく撃ち込んできている現在なるべく相手の残弾は減らしておきたかった。 それに逃げ回ってりゃそうそう死ぬこともないだろう。 とはいえ相手の技量は高く、決して少なくない量の弾をすでに浴びせられている。いかに強固なゲッターの装甲といえど金属疲労が起こり始めていた。 もう敵の残弾はもう十分に減らしたはずだ。それに前回のガトリングの射線から大雑把に相手の位置も把握できた。 なによりこれ以上食らうのはゲッターといえど危ない。 仕掛ける――― これまでの逃げの姿勢から一転、ゲッターのブーストをフル稼働させバーニィは突撃を開始した。 「ここで突撃だと・・・何考えて・・・。しまった!」 その動きから直感的に相手の意図を読み取ったモンシアもプランを短縮して勝負をかけることを決意する。 ここで出し惜しみしても意味はない。相手がうとうとしている手が決まる前に勝負をつける必要があった。 マイクロミサイルの残弾全てをゲッターの進路に広域散布しさらに残ったホーミング二基も撃ち込む。 ゲッターのレーダーが熱源反応に埋め尽くされる。 異常なほどの量のマイクロミサイルがゲッターとその周囲を破壊していくがゲッターはひるまず最大速度で駆け続けマイクロミサイルの雨を抜けた。 前方に標的を確認。あと200m・・・100m・・・・・・30、20、10、いまだ! 「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 気合と共にトマホークを一閃。補給ポイントを破壊する。あとはこの戦域から一旦離脱するだけだ。 直後、警報がコックピット内に響き渡る。熱源反応が三つ、何かが背後から迫ってくる。 背中に悪寒が走る。ホーミングが爆煙を裂いてあらわれた。振り返りざま一基目をトマホークで切り払い続いて飛来する二基目を強引にかわす。 そして、その直後を狙って三基目の熱源―――ヘビーアームズの胸部ガトリングとダブルガトリングガンが至近距離で一斉に火を噴く。 その直撃を受けたゲッターは完全にバランスを崩され仰向けにひっくり返る形で地に崩れ落ちた。 「クソッ!まだ・・・」 「いや、チェックメイトだ。坊主、変な気起こすなよ。いくら固くてもコックピットを直に撃たれりゃ話は別だろ?」 オープンチャンネルをかいしてここで始めて通信が入る。 起き上がろうとしたゲッターの鼻先に銃口が突きつけられ、胸部からその姿を覗かせているガトリングはゲッターの胴体を狙っていた。 全身から嫌な汗が一斉に吹きだしてくる。動いたら撃たれる。その恐怖がかろうじて気が動転しそうになるのをおさえつけていた。 勝敗は決した。 今回、ベルナルド・モンシアがたてていた作戦は第一段階で敵を撒き姿を隠し、第二段階で敵を補給ポイントから離れるように誘導。 続く第三段階でマイクロミサイルを広域散布。第二段階の誘導はこのとき補給ポイントに損害を与えないためである。 そして最終段階で先ほどのマイクロミサイルと弾速を調整したホーミングの爆煙と熱源反応を隠れ蓑に接近、 至近距離からの射撃で相手をしとめるというものであった。 対してバーナード・ワイズマンの策は第一段階でなるべく相手の残弾を削り、第二段階で補給ポイントを破壊。 第三段階でそのまま一時離脱しその後交戦と離脱を繰り返し相手を消耗させるというものである。 結果的にはモンシアは補給ポイントに急速接近をし始めたバーニィを確認して第二段階を切り上げ最終段階に移行。 バーニィを取り押さえるも補給ポイントは破壊されていしまうということとなった。両者の思惑の完遂率は共に50%といったところだろうか・・・。 そして現在、モンシアはゲッターを片足で踏みつけ銃口を鼻先に突きつけている。その状態のまま残弾チェックをおこなっていた。 「クソッ!・・・まったく憎々しい小僧だぜ」 「・・・・・・どういうつもりだ?なぜ撃たない?」 「気は落ち着いたようだな・・・。何、ちょいと情報収集したいだけだ。遺言ぐらいは聞いてやるぜ」 ここからは情報収集の時間だった。 「そうだな・・・。まずは所属と姓名から名乗ってもらおうか・・・」 「・・・・・・」 「どうした?別に俺はこのままさようならでもいいんだがな・・・」 「・・・ジオン軍サイクロプス隊所属・・・バーナード・ワイズマン伍長」 (ジオン・・・デラーズ・フリートの連中か・・・) 「サイクロプス隊?聞いたことねぇな・・・ここに連れてこられた経緯は?」 「わからない。ガンダムとの交戦中から意識が途切れ・・・気づいたらここにいた」 その後、暫くの間ここで遭遇した他の機体の情報、首輪や主催者についてなどいくつかの質問をうけバーニィそれに答えていった。 「ハンマー持ちの赤い機体か・・・」 (わざわざこいつを生かしておくってことはゲームに乗った連中じゃなさそうだな・・・) そして暫くの沈黙の後モンシアの口がひらく 「何か言い残すことはあるか?」 「・・・サイド6に・・・ジオンによる核攻撃があったかどうか教えてく・・・・・・」 「サイド6?おいおい、あそこは中立コロニーだろ?お前さんに何の関係が・・・」 「頼む・・・教えてくれ・・・」 相手の様子に眉をひそめるも自身の記憶を思い返してみる。そういえば一年戦争の末期にそんな作戦があったというのを軍のデータで見た気がする。 たしか――― 「俺の記憶に残っているかぎりだが、そのジオンの作戦は失敗に終わったはずだ」 通信機越しに相手が安堵のため息を吐くのが聞こえてきた。 「ありがとう・・・」 「さて、そろそろ・・・」 唐突に現実に引き戻され忘れかけていた自身の状況を思い出す。奥歯が噛み合わず音をたてる。 「さよならだ」 (これで終わりなのか?いや、まだだ。まだ俺は全てのカードを切ったわけじゃない!!) 最後の引き金がひかれる瞬間、バーニィは無我夢中でゲッターを動かす。そしてあらん限りの声を振り絞り叫んだ。 「ゲッタアアァァァビイイイィィィィィィム!!」 銃弾と閃光が交錯しあたりに爆音が響き渡る。 弾丸は障害物に当たり火花を散らし、ゲッタービームは進路を阻むもの全てを抉り取りまっすぐ大空へ伸びていった。 G-6基地の廃墟と化した一角に一機の人型機動兵器が別の一機を見下ろしただずんでいる。 「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハ・・・ハハ・・・やった。やったぞ!」 そのパイロットの息は荒く呼吸は落ち着かない。 一度相手の機体を確認する。右半身が吹き飛んでいる。動いていない。動くはずがない。 自然に笑いがこみあげてきた。強敵を打ち倒した充実感と高揚感に体が満たされる。 ついで機体のチェックを始める。山ほど撃ち込まれたせいか損傷がひどい。 なかでも頭部は最後の一撃で前面の右側にヒビが生じている。一度しっかりと整備をするべきだ。 ふと気づくと体の興奮は既に冷めていた。もう一度相手を見やる。 決意を固め参加者を殺すことに迷いはない。 しかし、いざ人を殺して見るとやはり心のどこかに割り切れないものがあるのを感じる。こればっかりは慣れるしかなかった。 「戦場なんだ・・仕方ないだろ・・・。誰だってやらなきゃならないと思ったことをするだけなんだ・・・」 言い訳をするように呟くとゲッターは沈黙した敵機からピエロの仮面を剥ぎ取りヒビの入った箇所にあてがうと背を向け整備可能な場所を探しに歩き出した。 「詰めが・・・甘いな・・・」 大破したヘビーアームズのコックピットの中モンシアは生きていた。 しかし、その体から血が溢れ出し滴り落ちシートを瞬く間に染め上げていく。 (不死身の第四小隊が・・聞いて・・・あきれるぜ・・・) どれほどの傷なのか。だがまだ死んではいない。死んでいなければ闘えるということだ。 傷口の周辺を縛り上げ止血をおこなう。 (まったく・・詰めが甘い・・・やつも・・・・・俺も・・・な・・・) ふっと、目の前の光景が遠のいていくような感じにモンシアは襲われた。 【バーナード・ワイズマン(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争) 搭乗機体:ブラックゲッター(真(チェンジ!)ゲッターロボ 地球最後の日) パイロット状況:頭部に軽い傷 現在位置:G-6基地 機体状態:装甲に多数のへこみ 戦闘に若干の支障(整備をおこなえば問題はない) マント損失 、エネルギーを3/4程度消費 第一行動方針:機体の整備をおこなう 第二行動方針:ゲッターを使いこなす 最終行動方針:優勝する 備考:頭部に生じているヒビをヘビーアームズのピエロの仮面で隠している】 【ベルナルド・モンシア (機動戦士ガンダム0083 Stardust Memory) 搭乗機体:ガンダムヘビーアームズ改(新機動世紀ガンダムW~Endless Waltz~) パイロット状態:気絶中 負傷(負傷の度合いに関しては次の書き手の方にお任せします) 現在位置:G-6基地 機体状態:大破(運用不能) 第一行動方針:傷口の手当て 第二行動方針:機体を手に入れる 最終行動方針:???】 【初日 17 40】 BACK NEXT 薄氷の同盟 投下順 混乱 『歌』に振り回される人達 時系列順 血に飢えた獣達の晩餐 BACK 登場キャラ NEXT 楽勝! バーニィ 煮えきらぬ者 閃光 モンシア ゲスト集いて宴は始まる
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/53991.html
敵にも設定されてるけれど反映されないケースが続いているのが少し残念…されてたらまあTA勢が悲鳴を上げてたかもしれんが -- 名無しさん (2018-04-22 13 56 38) ちなみに使えないと言われるアルトのABは、ゲッターロボも同様のカスタムボーナスを持っている。しかし、こちらは移動力の高い2で距離を詰めて1の必殺技を叩き込む、空を飛べる1で悪路を進み運動性や装甲の高い2や3で雑魚を蹴散らすといった使い方があり、かなり有用。同じ効果でどうしてこうなった… -- 名無しさん (2018-04-22 14 30 03) ↑バルキリーが変形してもそんな大差無い性能なのが悪い… -- 名無しさん (2018-04-22 14 39 59) 鉄甲鬼の連続ターゲット補正無効とか隠しに恥じない能力だったな。あとネタといえば五飛の自爆しても1のこる -- 名無しさん (2018-04-22 14 54 07) 気力150以上になると1回だけ愛や勇気がかかるエースボーナスの使い道・・・ -- 名無しさん (2018-04-22 15 14 53) 正直、杉田が演じたブリットの『HPが30%以下になったら一度だけ気迫がかかる』もOGシリーズの中では相当使えないABなんだがな… -- 名無しさん (2018-04-22 16 26 42) ↑3 ネタであると同時に実用性もある。開幕で底力を自分含めて無理やり発動させたりもできるし… -- 名無しさん (2018-04-22 16 46 09) 一矢の切り払い100パーセントは印象的 -- 名無しさん (2018-04-22 16 52 12) ネタと言えば再世篇の千葉・朝比奈コンビも中々。それぞれ藤堂と隣接時、「被ダメージ半減」(千葉)と「与ダメージ1.5倍」(朝比奈)なんだけど、千葉は「援護攻撃はあるが援護防御はない」、朝比奈は「援護防御はあるが援護攻撃はない」と言う設定ミスを疑うレベルのチグハグさ。 -- 名無しさん (2018-04-22 17 12 42) OGのエースボーナスはネタ要素無しだから少し寂しい -- 名無しさん (2018-04-22 17 25 07) ↑2多分それは意図的かと。補正が良すぎるからね -- 名無しさん (2018-04-22 17 45 54) チェンゲの真ゲッターロボの強さって、機体性能以上に3人のABが非常に強力だから、という点がゲッターらしい -- 名無しさん (2018-04-22 18 04 43) ↑2 そらまあOGに出演するキャラ自体そんなネタに出来るような「原作」が無いししゃーない。だから代わりにラスボスや大ボスがはっちゃけてるとも言える -- 名無しさん (2018-04-22 18 15 33) 個人的に一番不遇なのはMDのギリアムのABだと思う -- 名無しさん (2018-04-22 18 51 30) ↑4 とは言え千葉・朝比奈は優秀なユニットとは言い難い性能だし、そもそも藤堂との連携前提だからなぁ。援護攻撃と防御入れ替えてもバチは当たらないと思う。 -- 名無しさん (2018-04-22 18 54 23) 機体改造のボーナスだが、確かにゲッターが自由自在に変形可能になったのは嬉しかった。 -- 名無しさん (2018-04-22 21 19 32) ギアスの呪縛のエースボーナス、いきなり底力9とダメ1.1倍になると思ってたわ -- 名無しさん (2018-04-22 22 17 01) ギリアムのABは変更前は普通に有用だったのになんでああなっちゃったんだろ… -- 名無しさん (2018-04-22 22 22 33) V、Xで偵察の存在価値そのものが消えて敵の全データ開示がデフォになったからギリアムも後々見直される…はず! -- 名無しさん (2018-04-22 22 37 46) VのフロンタルのABは技能の強化人間がニュータイプに変更と、シャアの呪縛から開放され真のニュータイプになったってことかな?とか妄想できて中々に感慨深い -- 名無しさん (2018-04-22 22 58 35) ↑強化人間がニュータイプに変更は確か第二次Zのフォウが最初だったかな -- 名無しさん (2018-04-22 23 31 55) ↑4敵ターン限定だけど集中かけて敵陣に放置だけで最終回避が75%になるから切り込み役として最高だっただけにな。強すぎると判断されたのかも。 -- 名無しさん (2018-04-22 23 35 04) APのアキトのボーナスは一見ネタに見えるがこれがないと終盤のマップがきついのよね。火星丼はSP回復アイテムだけどAPでは回復パーツ使い捨てだし自動回復もないし -- 名無しさん (2018-04-23 01 37 11) ↑3 第2次Zにフォウが隠しでいたのかシラナカッタナー -- 名無しさん (2018-04-23 01 40 58) ↑いたいた。ウェイブライダー突撃でなんか生き霊が召喚されてたw -- 名無しさん (2018-04-23 01 45 46) ギアスの呪縛で底力関係なかったの!? 騙されたー -- 名無しさん (2018-04-23 11 18 15) OGMDはマサキも大概酷い変更されてんだよなぁ。エースボーナス自体は問題ないんだけど登場後の地上マップが・・・ -- 名無しさん (2018-04-23 17 10 30) 逆にエースボーナスが有能なのに、使える人物と機体にマッチせずに使えなくなるのもあるよな。 -- 名無しさん (2018-04-23 17 14 27) 一見ネタっぽいが、うまく使えばぶっ壊れになるハーケンも特徴的 -- 名無しさん (2018-04-23 17 21 02) カスタムボーナスの項目もその内作られそう -- 名無しさん (2018-04-24 19 10 42) 太陽炉ボーナスとかはどうしても「逆恨み」とかいうトラウマ技能を思い起こさせる。 -- 名無しさん (2018-04-24 19 14 16) ↑2エースボーナスと違ってネタになりづらい無難なものしかないのがカスタムボーナスの難点なんだよなぁ…。有効なのは変わりないんだが… -- 名無しさん (2018-05-03 10 39 09) ネタなエースボーナスで第二次Zのコーラサワー思い出した。「マップ上にカティがいる場合、全ての能力+30」という凄まじいものだが、発揮される機会はない。 -- 名無しさん (2018-05-03 12 46 13) スザクのABは一応気力130までの攻撃力の底上げにはなる 倍率が低いし、AB取るぐらいまで行くとすぐに130到達しちゃうけどな・・・ -- 名無しさん (2018-05-27 22 32 27) ネタ色という意味では機体色依存型エースボーナスは入れてほしいと思う -- 名無しさん (2018-06-04 23 00 49) BB製の主人公達はシンプルで強いけど3Z~Xまで代わり映えしないから次やるならもうちょい冒険してもええんやで -- 名無しさん (2018-06-05 03 06 34) 人呼んで早乙女スペシャルってそこまでクソでも無くね?バトロイドになればピンポイントバリア張れるし… -- 名無しさん (2018-06-05 17 05 20) スパロボAPのエースボーナスは隠しなのに弱いキャラとか埋もれがちなサブキャラにも個性が付与されて面白かったしバランス調整としてもよかったと思う 一人一人考えるのは大変だろうけどまたあれくらいバラバラにして欲しいな -- 名無しさん (2018-06-05 17 26 43) 近年の作品はわりとみんなバラバラでした… ↑のはまたリメイク出すならってことで -- 名無しさん (2018-06-05 17 34 01) Xno -- 名無しさん (2018-06-05 18 39 02) ↑ミスりました。XのトッドもABの不屈とデフォルト技能のラッキースターで不と幸が並ぶけど狙ってたんだろうか。 -- 名無しさん (2018-06-05 18 40 49) ↑狙ってるなアレは、間違いない -- 名無しさん (2019-03-27 21 31 35) ↑6 第2次Zのバルキリーにはなぜかピンポイントバリアがないんや…。ファイターから変形してるということは空飛んでる状態なので地形効果も受けられないし。 -- 名無しさん (2020-02-10 03 35 31) ↑実物と攻略本ないんでまとめWiki情報だが、再世篇で実は付いてたっぽい。まぁ、そもそもピンポイントバリアに頼るような戦いする機体でもないし… -- 名無しさん (2020-02-10 04 10 09) BXぐらいだよね、バルキリーのピンポイントバリアがありがたいのは -- 名無しさん (2020-02-10 09 38 12) リアル系のバリアは(柿崎いいい!!とか除いて)万一の際の保険だからね、基本躱せって言う。それはそうと、参戦してない作品のエースボーナス想像するの楽しい。(通常スパロボに参戦した)マブラヴの武とか、「BETAとの戦闘時最終命中率・最終回避率+30%・ダメージ+20%」とか -- 名無しさん (2020-02-10 09 56 11) 流石に全部が秀逸とはいかないけどスタッフさんが毎回毎回良く考えてて新規参戦キャラのボーナスの内容も楽しみの一つになってるな。最近だとアンジェラやイーグルの分析掛けた相手にダメージ増のやつが好きだった。 -- 名無しさん (2020-04-13 23 33 38) 社長 舞人 万丈さんのエースボーナスは財政にも関わるからクソ使えるんだよね -- 名無しさん (2020-12-25 14 25 36) 「元から強い組はどうせ使うんだしネタボーナスにして、二線級キャラこそ強力なエースボーナスで強くするべきでは」とか結構議論がある代物 -- 名無しさん (2020-12-25 15 02 53) Xのゼクスは三次Zより劣化してるけど、本編で二度もMS単独でカチコミしていたことから見るとしっくり来ない? -- 名無しさん (2021-03-28 22 29 47) APのノリスのEN消費-50%(グフカスにEN消費武器は一切ない)は割と酷いと思う。デンドロビウム辺りに乗り換えたら滅茶苦茶噛み合って強いけど。 -- 名無しさん (2021-07-17 11 28 36) シュウ(OG)のエースボーナス、初見時は懐かしさで笑ってしまった -- 名無しさん (2021-11-10 18 14 08) ヨナのABもう少し何とかならんかったか -- 名無しさん (2021-11-10 18 41 45) エースボーナスでは無くなったが、バグか仕様か30のスザクはギアスの呪いと底力の相乗効果で信じられないくらいカチカチらしい -- 名無しさん (2021-11-10 19 15 28) 気力一定以上で精神コマンドがかかる、ってボーナスは暴発する時もあるからいまいち使いづらい -- 名無しさん (2021-11-10 19 54 50) ↑3 実は天獄篇の宗介と同じ 設定的なものかなって -- 名無しさん (2021-11-10 19 58 38) ↑2 1MAP中に1度だけだから尚更なんだよね… -- 名無しさん (2021-11-13 21 30 44) 底力レベル18は実はスパロボAPで既に登場してたりする。白鳥九十九の底力二倍がそれ -- 名無しさん (2021-11-16 00 16 48) ギリアム 移動力+2、最終回避率20%←ええやん。ブリット HP50%で気迫発動←うーん、この -- 名無しさん (2021-11-17 15 38 18) ↑スザクは有用なエースボーナスになったのに… -- 名無しさん (2021-11-17 15 43 58) もはや悪ノリされてる感はある・・・そこまで気にしなくてもクリアには支障無い難易度だけど -- 名無しさん (2021-11-17 16 54 38) ブリットのABは『HPが100%を下回った時』とかなら不屈で10ダメージ合わせで面白そうなんだけどなぁ 50%では… -- 名無しさん (2021-11-21 21 05 01) マクギリスのABは元々の消費SPが高いから「上位互換の精神コマンドを低いSP消費で使用できる」というメリットがないんだよな -- 名無しさん (2022-01-12 19 19 35) 30の手加減マップ兵器、グランダッシャー忘れられてない?反骨心が無意味になるけど -- 名無しさん (2022-06-05 21 58 57) エーストークの個別インタビュー好きだけどテキスト考えるの大変そう -- 名無しさん (2022-08-01 13 02 49) ログ化を提案します -- 名無しさん (2022-08-01 13 08 48) ログ化しました -- (名無しさん) 2023-04-29 10 03 46 エースになってインタビューあるおかげでエース狙うの楽しくなったわ -- (名無しさん) 2023-11-11 13 27 36 「キャラクター固有のエースボーナス」の初出はOGシリーズなのにOGスタッフが一番持て余してるよなぁ……個人的にはキャラ育成のモチベーションを削ぐだけなので無難で面白くなくてもいいから味方キャラは全員優秀なエースボーナスにしてくれと言いたい -- (名無しさん) 2024-09-04 10 30 24
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/292.html
◆ 髪を焦がし、凄まじい熱波がうなじを灼いていた。帯電した空気が爆ぜ、衝撃波となって吹き荒れる。 背にしていた隔壁が粉々に砕け、飛び散る破片に弾き飛ばされる。 仰向けにひっくり返るような格好で、したたかに後頭部を打ちつけた。鼻から脳天に痛みが突き抜ける。 鼻の奥がきな臭い。吸い込んだ空気が熱い。 何が起きたのかは分からなかった。何故こんなことになったのかわからなかった。 警報が鳴り響き、赤色灯が点ったかと思うと、隔壁が猛然とした勢いで降ってきたのだ。 そして、次に起こったのがこの急な爆発だ。暫くは身を小さくしておさまるのを待つしかなかった。 そんな状態で正確な状況が飲み込めるはずも無い。 だから今は、砕けた隔壁の代わりに比較的大きな瓦礫を見つけると、その影にほうほうの体で逃げ込んでいた。 そのまま身を潜め、じっとしている。そのまま致命的な爆発が起こらないことだけを祈っている。 どれほどの時間そうしていただろう。実際には大した時間ではなかったのかもしれない。 だが、動くに動けず、近くで爆音が起こるたびにその身を竦ませて、逃げ出したい衝動を押さえ込んでいる立場からすればそれは永久の長さに感じた。 全ての喧騒が遠くなり、自らの荒い息遣いが感じられるようなって、やっとカミーユは瓦礫の下から這い出した。 盾にしていた頭上の大きな瓦礫から小さな破片がパラパラと頭に降ってくる。見上げてみるとそれは壊れた隔壁の一部だった。 崩れた豆腐のように不規則に粗い断面。そこから突き出している鉄筋と鉄骨を足場にして、大きな瓦礫の上によじ登る。 よじ登って広がった視界にカミーユは息を忘れて立ち尽くした。 コンクリートの瓦礫、むき出しの鉄筋と鉄骨、帯電したケーブル、硝子の砂。それらからなる瓦礫の荒野が遠くまで広がっていた。 ここはこんなに見晴らしがよかったか? どうにか動いた思考が考えられたのはそれだけだ。 僅かな建物が申し訳なさ気に佇んでいる。 爆発前と変わらない物はそれぐらいのもので、おそらく無事であるだろう機動兵器も瓦礫に埋もれてしまったのか見当たらなかった。 呆然と見回す視界の中、遠くで時折小規模な爆発が巻き起こる。その爆風に運ばれてオゾン臭と焦げ付くような臭いが流れてきた。 そう、何かが焼ける臭い。 植物やゴムといったものではなく、どちらかと言えば魚よりも肉に近いような……ハンバーガー店の厨房から漂ってくるようなこの臭い。 そこまで考えて強烈な吐き気が込み上げてきて、戻した。 ここで焼けるような肉など一つしかない。ここはこれまでに数度の戦闘を繰り返してきた場所だ。 死んだ者の中にはきれいさっぱり蒸発してしまった者もいただろうが、そうでない者も当然いたに違いない。 胃液と唾が混ざり合った苦い唾液を吐き出して、口の中の嫌な味をごまかす。 そこで、ふと気づいた。 ベガ……さんは? 周辺を見回す。 身を隠せそうな程大きな瓦礫。堆く積もっている小さな硝子の破片。盾に使えそうな壁。千切れて大蛇のようにうねっているケーブルの脇。 どこにも動くモノはない。何もない。時折細かい破片がパラパラと音を立てるだけ。 ――死。 脳内に湧き上がってきたそれを振り払うように、喉を震わせて声を張り上げた。 「ベガさん、何処ですか? 返事をしてください!!」 自分の声が山彦のように反響するだけで何の返事もない。 余計に死が色濃くなり、それを拭い去ろうと躍起なって搾り出すように声を張り上げる。 張り上げながら、思い出そうと混線する記憶の糸を必死に手繰っていた。 何をしていた? 爆発の起こったとき、起こる前、隔壁が下りたとき、何処にあの人はいた? 思い出せ!! 何処だ? 何処に、あの人は―― そして、思い出す。 通路を足早に歩く自分を追いかけ、五月蝿く纏わりつき、口をすっぱくして小言を漏らしていた彼女。 それに反発を覚えて、罵声を浴びせていた。そのまま口論に鳴りかけたときに警報が鳴り響き、出し抜けに突き飛ばされたのだ。 それで隔壁を一枚隔てて左右に分かれることになった。 そのときは隔壁の下敷きにならずにすんだことにも気づかず、突き飛ばされたことにただ腹を立てて、顔をつき合わせずに済むようになったことに清々してて。 それで何か壁越しに言い募るあの人の言葉を聞こうともしないで。そして、あの爆発が……。 はっとして今自分が足場にしている壊れた隔壁を見下ろした。 この隔壁だ。この隔壁が自分とあの人を左右に分けた。だったら、あの人は直ぐそこに。 滑るように隔壁を伝い瓦礫の中に足をつく。細かく砕けた破片が砂利のような音を立てた。 分かってはいる。この周辺で原型を保っている隔壁はこの一枚と背後の一枚。そのただ二枚しか存在しない。 その中で無事な隔壁に運良く挟まれた自分を除いてどうして人が生存など出来るのだろうか。 分かってる。全て分かってる。それでも、それでも掘り出す作業を続けずにはいられなかった。 重い瓦礫を持ち上げ、細かい硝子の破片を掻き分ける。腕で持ち上がらないモノは全身を使い脚で蹴り出す様にして押し出す。 それでも無理なモノは折れた鉄筋を梃子にして横にどけた。 だがどうやっても持ち上がらないものがある。動かないものもある。中には熔けて断面が灼熱しているものすらある。 一人の力で全ての瓦礫をどかして一人の人間を見つけようなど土台無理な話であった。 それでも動かずにはいられない。いられなかった。傷を拵え、汗を拭い、肩で息をしながらカミーユは思う。 何も聞いていなかった。 あの人は何を言っていた? 何を必死で説いていた? 拗ねて当り散らすだけ当り散らした俺に何を教えようとしてた? 邪険に扱われ、粗末に扱われ、それでも何かを伝えようとしてたあの人の言葉を俺はどれだけ真剣に聞いていた? 腕が震える。視界が濁る。 駄目だ……何も思い出せない。俺はあの人の言うことを何も聞いていなかった。 俺は馬鹿にしてただけだ。あの人の言う注意も何もかも、自分ならもっと上手くやってやると自惚れて。 あの人は何て言っていた? 隔壁が閉じた後、爆発が起こる前。耳には届いていた。届いていたはずなのに、何も思い出せない。 壊れたスピーカーの立てる砂嵐のようなノイズ音がやけに耳についた。耳について気づいた。 ――人の声が混ざってる? 『――ロプス隊所属バーナード=ワイズマン。もし……もし誰か生きているのなら聞いてくれ。 こんなことを言ったところで俺のやったことはなくならないし、許してもらえやしないのは分かってる』 言葉が区切られる。ノイズ音だけになったスピーカーに苛立つ。 誰だ? いやそれより、何だ? 何を言っている? 『俺は生き残りたい。帰りたい……すまない。俺のやっていることは間違っているのだと思う。 生きて帰りたいからといってこんな……災害を巻き起こして許されるはずがない。でも仕方がないんだ』 ワイズマンと名乗る男はところどころ息を呑み込みながら、苦渋に満ちた声で話している。 だが、カミーユのその相手の様子に気づく余裕はない。自己を喪失しそうになりながら呆然と話を聞いている。 今……何て言った? 貴様のやったことか? 『俺には……帰りたい場所がある。帰って会いたい人がいる。だから……俺はこの間違った光景を振りまき続けると思う。 自分では止められない。帰りたいんだ。会いたいんだ……どうしようもなく。あいつらの顔が見たいんだ。 だから、お願いだ。誰でもいい。誰か……俺を、俺を止めてくれ……』 「ふざけるなッッ!!!」 頭が熱くなるのが分かる。カッとしたものが込み上げ来るのを自覚しながらも、自分ではどうにもできない。 「生きて帰りたい? 会いたい人がいる? 何でその気持ちでもう少し下に居る人達のことを考えてあげられなかったんだッ!! 殺しちゃいけなかったんだよ! この人にも帰る場所があった!! 帰りを待ちわびている人がいた!!! まだしなきゃならないことがあったんだッ!!!! 死んでいい人じゃなかったんだよッ! それをお前は殺したんだッッ!! 一方的に!死んだという自覚すら与えずにッ!! 命を奪ったんだよッッ!!! それで自分は間違っているから止めてくれだって? ふざけるのも大概にしろ! そんなに死にたきゃ一人で勝手に死ねよッッ!!! 死んじまえよッッッ!!!!」 固く拳を握りこみ、一息に言い終えて息が切れる。荒い息継ぎをしながら落ち着かない。 許せなかった。許せるはずがなかった。 気持ちが治まらずに見上げた視界には遥かな高度に佇む機体が一つ。たしかゼストと言ったか? ユーゼスの機体だ。 その空を赤い閃光が南北に駆け抜けるのを、そのときカミーユは目撃した。 ◆ 「馬鹿な男だ」 管制塔の天井にぽっかりと空いた大穴からユーゼスは上空を眺めていた。 視界の先にはメディウス・ロクス――バーナード=ワイズマンがいる。司令室内部の通信機器はその声を伝えている。 既にメインコンピューターの損傷度合いは確認していた。出力は落ちているが電装系統に狂いはない。 AI1の行なっていた解析結果も高い解析率のモノがバックアップに残されている。後の処理はAI1でなくとも可能だ。首輪の解析に支障はない。 そして、最も重要な手を加えようとしていた謎のナノマシン。本体の首輪こそ持て行かれたが、一部をサンプリングし手元に残していた。 重ねて思う。馬鹿な男だ、と。 こうして何の得にもならないどころか、自身の不利になるようなことを口走っていることもそうだが、それ以上に自分に刃を向ける道を選んだということに対してである。 そのことの愚かしさが、ユーゼスに前述の感想を漏らさせていた。 ユーゼスに言わせてみれば、ここで生き残るには自分の手駒となる他に道はないのである。 自惚れではない。これは確定事項だ。 ここには奴がいない。自分を止めるべき宿命を帯びた宿敵がいない。奴以外に私は止められず。止められてやる己でもない。 だから、だ。だから、勝者は既に決している。一人勝ち残ろうと思えば間違いなく勝ち残れる。 例え、あの化け物に刃向かおうとも己が死ぬことなど有り得はしない。 ならば、全ては己の胸のうち一つ。この世界を支配しているのは実はアインストではなく己である。 強烈な自負心を持ってユーゼスはそれを確信している。だからこそ、バーニィを愚かと断じることにいささかの迷いもない。 しかし、少々の厄介さは感じていた。生き残れる。だが、それだけでは意味がない。 アインスト細胞、AI1、ラズムナニウム、TEエンジン、Gストーン、オーラ力、NT、そしてゲッター線にDG細胞。 これらの知識はこの世界で得たものだ。どれもこれもが素晴らしい。幾度転生を繰り返せばこれほどの知識を得ることが出来ただろうか。 それらを持ち帰ることは出来る。しかし、しかしだ。まだ最大の獲物が残っている。 ノイ=レジセイア――次元すらも自在に超え、これだけの素材を集めることの出来る存在。最も欲しいのは奴の力。 それを得るには少なくとも奴に並ぶ必要がある。その為には優れた技術を取り込み、高い効率で進化が行なえる機体が必要不可欠。 それが、メディウス・ロクス。それが、AI1。それは取り戻さなければならない。 それにはメディウスに多少なりとも抗える機体が必要だった。 視線を頭上から眼下に広がる瓦礫の荒野へと落す。 カミーユのいる地表面付近よりも遥かに高い管制塔。その高さから見下ろせば地上では確認できない瓦礫に埋没しかけている機体も目に留まる。 メリクリウスでは力不足。メディウスの再生能力を考えれば向うの損傷は気にしなくてもいい。稼動が可能な軽度の損傷、且つ高い戦闘力を誇る機体は―― 「ローズ・セラヴィ……いや、ブラックゲッターといったところか。流竜馬と言ったか?あの男が残した斧もまだ使えるな」 当りをつけ、再び見上げた視界に真紅の閃光が南北に奔った。ほう、と口元を歪め―― 「随分とのんびりとしたものだが……戻ったか、キョウスケ=ナンブ」 ――丁度いい、と笑った。 貴様の撒いた種だ。一度ならず二度までも止めを刺し損ねた相手だ。そして、貴様の甘さが招いた結果がこれだ。 私の見ている前で落とし前をつけさせてやる。自分で始末をつけてみろ。あの男を止めてみせろ。それが貴様の役目だ。 ◆ 「エクセレンのようにはいかんか……ままならんな」 彼方の空。まだ上空に小さく佇む機体を狙ったオクスタンライフルの一撃は軸がズレ、彼方へと消えていった。 その真紅の光跡を見つめて苦々しく呟いた。 「……外れだな」 「射撃は苦手なんでな。だが、一応の効果はあった」 先ほどまでありとあらゆる周波数で通信機を鳴らし続けていた独白が途切れている。こちらに気づいたのだろう。 注意をこちらに向ける。それが目的。それが狙い。当ればそれは儲けもの、という程度しかない。 後は声の主をキョウスケ=ナンブは止めなければならない。この声をキョウスケは知っている。 ここに来て最初に出会ったのが奴ならば、奴に止めを刺さずに放置したのも自分だ。 ならば、この敵機の真下に横たわる惨たらしいまでの光景――基地が壊滅状態に陥ったことの責任の半ばは自身にある。 だが、残りの半分は――ユーゼス=ゴッツォ、貴様にある。睨みを利かせた瞳が鋭く光った。 貴様は言った。生存者は全機体ともなしだ、と。あの黒い機体を確認しに行った貴様が言ったのだ。 確認したときには既にいなかったでは通じん。貴様ほどの男が死亡を確認しもせずに不確かなことを口にするはずがあるまい。 ならばこれは、この惨状は貴様が仕掛けたことか。 根拠は薄い。主観的なのも分かっている。それでもそうとしか考えられない。ならば―― 「その落とし前はつけさせてもらうぞ」 怖気の走るような凄みを伴って思わず口をついて漏れた言葉に「どうした?」と声がかかった。それに軽く「なんでもない」と返し、言葉を繋げる。 今、ユーゼスのことを話せる状況にはいない。まずは目の前の敵とケリを付け、自身の責を負わなければならない。 ユーゼスのことを話すのも、奴に奴自身の責を負わすのもその後でいい。 「向うもこちらに気づいた。そろそろ通信圏内も抜ける。お前はそのまま隠れていろ」 「……元よりそのつもりだ。悔しいが、今の俺ではただの足手まといにしかならん。 あんたに死なれると俺が困る。死ぬなよ」 「死ぬつもりはない……まだな」 それを最後に通信が途切れ、ノイズを伝えるのみとなる。 これでいい。今のあの男の状態では戦闘には耐え切れない。本人の言うように足手まといになる。 それに自分がケリを付けるべき相手だ。無駄に他者を危険にさらす必要はない。 これでいい、と再度結論付けたキョウスケがブーストを焚く、アルトアイゼンを遥か後方の森林に残し、ファルケンが低空を舐めるように飛んでいく。 速力は音速を超えて上昇を続け、周囲の景色が瞬く間に遠くなる。まだ互いに当る距離ではない。牽制もない。 しかし、時期に当る距離になる。その間合いへと僅かな怖れも見せずに隼は全速で飛び込んで行った。 【バーナード・ワイズマン 搭乗機体:メディウス・ロクス(スーパーロボット大戦MX) パイロット状況:頭部から出血、その他打ち身多数 機体状況:第二形態、損傷多数、EN残り40%、自己修復中、EN回復中 現在位置:G-6基地上空 第一行動方針:新手の敵に対応する 最終行動方針:生き残る 備考1:ユーゼスが行なった首輪の解析結果を所持しています 備考2:首輪を手に入れましたが気づいていません(DG細胞感染済み) 】 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:なし パイロット状態:若干の疲れ 現在位置:G-6基地管制塔司令室内部 第一行動方針:戦闘を観戦 第二行動方針:AI1の奪取 第三行動方針:首輪の解除 第四行動方針:サイバスターとの接触 第五行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る 備考1:アインストに関する情報を手に入れました 備考2:首輪の残骸を所持(六割程度) 備考3:DG細胞のサンプルを所持】 【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・SボーゲルⅡ(マクロス7) パイロット状況:心理状態不安定 機体状況:不明 現在位置:G-6基地跡 第一行動方針:動く機体を探す 第二行動方針:マサキの捜索 第三行動方針:味方を集める 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 最終行動方針:ゲームからの脱出またはゲームの破壊 備考:ベガ、キョウスケに対してはある程度心を開きかけています】 ※機体の損傷状態については次の方にお任せします。 【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 OG2) パイロット状況:頭部に軽い裂傷、左肩に軽い打撲、ユーゼスに対する不信 機体状況:胸部装甲に大きなヒビ、機体全体に無数の傷(戦闘に異常なし) 背面ブースター軽微の損傷(戦闘に異常なし)、背面右上右下の翼に大きな歪み 現在位置:G-6南部 第一行動方針:バーニィとのケリを付ける 第ニ行動方針:アキトの保護 第三行動方針:首輪の入手 第四行動方針:ネゴシエイターと接触する 第五行動方針:信頼できる仲間を集める 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?) 備考1:アルトがリーゼじゃないことに少しの違和感を感じています 備考2:謎の薬を1錠所持】 【テンカワ・アキト 搭乗機体:アルトアイゼン(スーパーロボット大戦IMPACT) パイロット状態:マーダー化、五感が不明瞭、疲労状態 機体状態:胸部に軽度の損傷。3連マシンキャノン2発消費、スクエアクレイモア2発消費 現在位置:G-6南部 第一行動方針:キョウスケに情報を提供して同行する 第二行動方針:ガウルンの首を取る 最終行動方針:ユリカを生き返らせる 備考1:首輪の爆破条件に"ボソンジャンプの使用"が追加。 備考2:謎の薬を4錠所持】 【ベガ 搭乗機体:なし パイロット状態:死亡】 【残り22人】 【二日目6 35】 BACK NEXT 計算と感情の間で 投下順 適材適所 朝ごはんは一日の活力です!! 時系列順 戦いの矢 BACK 登場キャラ NEXT 穴が空く バーニィ すべて、撃ち貫くのみ 穴が空く ユーゼス すべて、撃ち貫くのみ 穴が空く カミーユ すべて、撃ち貫くのみ leaving me blue キョウスケ すべて、撃ち貫くのみ leaving me blue アキト すべて、撃ち貫くのみ 穴が空く ベガ
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/253.html
命の残り火 ◆7vhi1CrLM6 静寂の朝もやを排気音が掻き消した。 まだ低い朝陽に照らし出された街並みを巨大な影で塗りつぶしながら進む戦艦ナデシコ。 その指揮所にシャギアは駆け込んだ。オペレーター席で振り向いた比瑪と目が合い、一拍遅れて甲児も駆け込んでくる。 弾む息を押し殺し極めて冷静に声を出した。 「状況は?」 「八時の方角に何かを捉えたわ。加工拡大したものがこれ」 答えつつ比瑪がパネルを叩くとモニターに閃光が映し出される。 小指の先ほどにしか見えないそれが拡大されはっきりとした輪郭を伴っていく。 「機体だな。それにしてもこの速度は……」 「シャギアさん、こっちにもう一機いるぜ」 甲児が指差すそこに目を向ける。確かにそこにもう一機いた。白銀の機体。 高速で駆け抜ける機体とその先にいる機体。それが意味する状況は―― 「詳細は分からないが戦闘だな……待てッ!! 甲児くん!!!」 「わりぃ、シャギアさん。ナデシコはそのまま決めたとこまで行ってくれ!」 言うが早いか飛び出していく甲児。そのまま振り返ることなく指揮所を後にする。 だが、ナデシコは積極的な接触は避けると決めたばかりなのだ。頭が痛い。 「どちらが敵かも分かっていないと言うのに……」 いや、それどころか両方ともこの殺し合いに興じる人間という可能性すらある。 どうする? ここで甲児を見捨てていくのは容易い。だが、それをすれば……。 悩むシャギアの視界を甲板から発進した緑のモビルスーツが横切っていく。 「でも、追いかけるんでしょ?」 振り向いた比瑪と目が合い、その顔がにっと笑う。 頭を抱えつつも溜息と共に返事を吐き出した。 「もちろんだ」 ここで甲児を見捨てれば宇都宮比瑪の信頼を失うだろう。下手すれば手駒が一つもなくなるということだ。 それは早い。 オルバとテニアがいれば任せるところだが、今この場に二人はいない。 戦力の消耗は避けたいとはいえ、余計な諍いを避けようと思えば答えは決まっているのだ。 「私も出る。ヴァイクランで先行させて貰おう。ナデシコは微速前進」 ボソンジャンプについては説明おばさんが懇切丁寧に教えてくれた。 脱出の鍵となるのは、A級ジャンパーとチューリップクリスタル、そしてディストーションフィールド。 その一つを万が一にも失うわけにはいかない。 首を傾げた比瑪に「少々考えがある」と言い残して指揮所を後にした。 そして、歩を早める。戦闘への介入を決めた以上、それは実りあるものにしなければならないのだ。 どれだけ被害なく場を収めるか、それがこのときシャギアに課せられた課題だった。 ◆ 明けの空、誰もいない空虚の街で追いかけっこは続いていた。 本来ならば車が行き交うであろう大通りを白銀の巨体が駆け抜け、一拍遅れて紺碧の騎士が後を追う。 距離が縮まらない。いや、それどころか離されて行く。 真ゲッター2とヴァイサーガ。大型機ながらも奇しくも共にその早さこそを最強の武器とする機体。 だが、真ゲッター2のほうが早い。追いつけない。 それに耳鳴りが止まない。何でだろうか? 頭がくらくらする。 どうする? このままでは埒があかない。逃げられる。 一度退いて体勢を立て直すべきか? いや、それでは仕掛けた意味がない。 追いつけるか、と問われればその答えはYESだった。 ヴァイサーガ最大の攻撃『光刃閃』、その本質は居合いではない。 『光刃閃』のコード入力と同時にリミッターを解除される要素。すなわち風を超え光とも比肩しうるその速力こそが『光刃閃』の本質。 それを使えば追いつき一撃を加えることは難しくはない。 いや、使いこなせさえすれば一撃といわず、乱撃を加えることすら可能であろう。 だが、それには問題がある。 そもそも何故リミッター等と言う物がかけられているのか? 答えは単純だ。乗り手の体がついていかないのだ。 ヴァイサーガーの最高速から生み出される強大なG。それに並の人間の体はついていかない。 まず間違いなくブラックアウトする。 本来の乗り手であるアクセル=アルマーとラミア=ラヴレス、その二人ですら一定の経験を得るまで光刃閃が封印されていた。 そのことを鑑みれば、ここまで三度の光刃閃に耐えて見せている紫雲統夜の資質は高いのだろう。 いや、間違いなく高いといえる。 だが、彼は戦場に出て間もない。訓練を受けた普通のパイロットですらないただの一般人。 つまり、統夜ほどの資質をもってしても体がもたないということになる。 追いかけている敵が白くなる。視界が狭まる。頭がぼっとして思考が白に塗りつぶされていく。 ふとした瞬間に意識が跳びかけ、頭を振って叩き起こした。 長くは戦えない。それを感じ取った。頭に伸ばした腕が髪をくしゃりと掴む。 「何をやってんだ、俺はッ!! 戦うと決めて、でも決心がつかなくて、やることなすことあべこべで。 でも、それでも何を犠牲にしてでも生き残るって決心を固めたばかりじゃないかッ! なのに……今度は、今度は体が俺を裏切るのかよッ!! こんなので……こんなことで生き残れるはずないじゃないか……」 情けなかった。決意も、やけばちで身に着けてきた技術も、体も何もかもが中途半端。 自分に嫌気がさす。情けなさ過ぎる。 でもだからこそ、だ。だからこそ、ここは引き下がれない。 ここで引き下がれば自分は本当に中途半端になってしまう。そして、中途半端なまま死んでいく。そんな気がしていた。 ――だって、このままでは不甲斐なさ過ぎるじゃないかッ!! 引き出していたテンキーを叩く。体に無理が着始めている。 そんなことは百も承知。 多少の無理がなんだ。 男の子だ。男なのだ。自分が弱いとは思いたくない。認めたくない。 自分はやれば出来るのだと信じたい。 コードの入力が完了する。深呼吸を大きく小さく、そして大きく。鼻腔に嫌な臭いが突き抜けた。 それを無視して、ジリジリと引き離していく敵機を睨みつける。 視界に映るのは白銀に光る大型機。そして、それが駆け抜けた衝撃で砕け、光を反射しながら雪のように舞い散るガラスの欠片たち。 その中をヴァイサーガは一筋の閃光のように駆け抜けた。 ◇ 「ジョナサン」 「わかっている」 通信が一つ。画面越しのクインシィが何か言いたそうな顔をしていた。それを制す。 そう。わかっている。追いかけてくる敵機の挙動が妙だった。 しつこく追い回しているにしては、距離は開き続けている。詰まる様子は今の所ない。 かと言って遠距離攻撃を仕掛けてくるわけでもなく、ただ追い回しているのだ。 追いつけない。それはもう分かったはずだ。なら無駄な労力を払う前に引き下がるのが普通だ。 だが、その気配は見られない。ということは、だ。 「こちらの油断を誘っている、ということか……」 「あるいはこの先に罠をはっているということもありうる」 「距離はいつでも潰せると見ておいたほうがいいな。最初の一撃か?」 「ああ、どちらにせよそろそろ仕掛けてくる頃合だ」 矢継ぎ早に繰り返される会話。それが現状を分析し、丸裸にしていく。 二人の思考と結論はほぼ一致していた。ゆえに、話が早い。 会話を続けながら注意深く背後を探っていたクインシィ。その口が開く。 「来る。迅いぞッ!!」 「避けてみせよやッ!!」 確かに迅い。意表を衝かれれば無事にはすまないだろう。 だが、若いな。そう思い笑った。 最高の武器が最適な武器とは限らない。それを知らない若さだ。唯一つの武器を盲信している。 見せすぎだ。その攻撃は二度目。これで二度目なのだ。そして、意表は衝かれていない。 だから簡単にかわせる。 「オープンゲットッッ!!」 タイミングを見計らいジョナサンは叫びレバーを入れる。 真ゲッターが赤・白・黄、三色のゲットマシンに分かれ、空いた空間に閃光が飛び込んだ。 その挙動を鼻で笑う。後は再び合体し、別の方向に逃げるだけだ。 0.01秒にも満たない一瞬の逡巡。しかしそれを怖気が遮る。 まずい。直感的にそれを感じ取った。 見せすぎだ。オープンゲットは三度目。これで三度目なのだ。そして、それは敵機の想定内。 だから簡単に捉えられる。 次の瞬間、一機のゲットマシンを五大剣の刃が襲い、貫いた。 ◇ 剣先に戦闘機を串刺しにしたまま、勢いを殺しきれなかったヴァイサーガはビルを二つ貫いてようやくその動きを止めた。 息が荒かった。視界が白黒している。 機体を起き上がるように操作して、その動きに酔いが回った。口元を両手で押さえて吐き気を抑える。 読みは当たった。余裕のない状態での回避にはあの分離機構を使う、それは正解だった。 暴れる機体を押さえ込み急制動をかけて戦闘機を一機串刺しにしたのだ。 確率は三分の一。上々だ。 だが、その動きは光刃閃のリミッターを解除したままで行なわれていた。体の無理は加速度的に上昇している。 呼吸を落ち着かせ、汚れた口元を拭う。拭った手の甲が真っ赤に染まった。 「……鼻血?」 どろりと粘性を帯びた血が鼻から垂れ下がっていた。どこかの血管がやられたらしい。 大丈夫なのか? そんな疑問を挟みながら鼻に詰め物をする。 上を向いて深呼吸を一回。気持ちを切り替えると、串刺しの戦闘機を足蹴にして剣から手を離した。 クナイ状の小さな刃――烈火刃を二本取り出す。 見上げる上空には旋回を続ける戦闘機が二機。ダイヤルを回しオープンチャンネルを開ける。 「二人……いたのか」 男の名前を呼ぶ女の声が聞こえてきた。 足元の戦闘機にジョナサンとかいう男が乗っていた、そういうことだろう。 そして、まだ敵は残っているということだ。上空の二機は無人ではないということだ。 狙いをつけ、烈火刃を投げる。 「あっちか」 一本はひらりとかわされ、一本は命中。その挙動で乗り手のいる戦闘機に当たりをつけた。 避けたのは赤い戦闘機。そこに敵はいる。 足元の白い戦闘機から剣を引き抜き構える。 光刃閃は、今は使いたくなかった。戦闘機相手に必要とも思えない。 柄を握る手に力を込め、ヴァイサーガは赤い戦闘機に止めを刺すべく空に駆け上がった。 そして、その眼前に何かが放り出される。 ――……? 箱?? まずいッッ!!! 距離が近い。完全にかわしきる事は不可能。それでも統夜の直感に従いヴァイサーガは回避を試みる。 箱のような立方体。その表面でプラズマが奔ったかと思った瞬間、爆ぜた。 閃光と雷光が入り乱れ、雷鳴が鳴り響く。 視界が白に塗りつぶされる。ヴァイサーガの回路がショートし、機能が麻痺していく。 そして光が収まったとき、ぐらりと揺れたヴァイサーガは自由落下を始めた。 空が遠ざかる。落ちる。落ちていく。 それが本能的な恐怖を与え、統夜は叫んだ。 「動け! 動くんだ!! 動けっていてるだろッッ!!!」 コックピット内部の端末をしっちゃかめっちゃかに弄り回し、声の限り叫ぶ。 しかし、ヴァイサーガは動かない。 機体的な損傷は殆んどない。だからこの程度の問題からはすぐに回復できる。 だが、それでも回復よりも落下のほうが早い。ヴァイサーガは瓦礫の街並みに落ち、アスファルトの道路に激突した。 ◇ 何が起こったのか分からなかった。 敵機がこちらに狙いを定め、突撃してきた。そこまでは分かる。 迎え撃つ。そういう気概で身構えたときに、箱のようなものが割り込んできた。 それが閃光を撒き散らしながら爆ぜ、気づくと敵機は落下していたのだ。 あの箱は一体なんだ? 「お姉さん、ごめん。遅くなった!」 「ガロードか」 思考を遮る通信が一つ。声を聞いた途端に返していた。 南の空に朝焼けの色をした機体が浮かんでいる。通信はそれからだった。 機体が変わっている。それが気になったがそれより―― 「お前は今までどこをほっつき歩いていた! 私はずっとお前を探していたのだぞ!!」 思わず叱り付けていた。次から次へと愚痴が込み上げてくる。 それにガロードは「ごめん。ごめん。お姉さん、ごめんって」と防戦一方だ。 雷が頭上を通り過ぎるのを待つ算段なのだろう。小賢しい。子供っぽい小賢しさだ。 不意に視界の隅で何かが動いた気がした。 次の瞬間、黒騎士をクインシィの眼前を音もなくすり抜け、ガロードに切りかかる。 「ガロード!!」 クインシィの叫び声と剣が振り下ろされたのはほぼ同時だった。 しかし、ガロードは予想外にも鋭敏な反応をみせ、敵機の腕を受け止めることで攻撃を防いでいる。 「大丈夫だって。お姉さんはジョナサンを。ここは俺が引き受ける」 「しかし、私はまだ戦える。イーグル号も頑張ればなんとかなる子だ」 「そりゃお姉さんが使えばなんとかなるのかもしれないけど、ここは任せろって」 「ガロード!」 「お姉さん!! 大丈夫。大丈夫だって、ちょっとは俺を信用しなよ……」 視線が絡み合った。そして、僅かに気圧された。それを押し返そうとして辞めた。 強い光を放っていたガロードの目が一瞬情けなさそうに揺れたのだ。 「……信用」 ぽつりと呟く。一拍おいて唇を食いしばり、クインシィは決めた。 「本当に大丈夫なのだな?」 「心配性だな、お姉さんは。大丈夫」 「ガロード、任せた」 イーグル号が高度を落とし、ジャガー号の元へと向かう。 ガロードが返した「了解、と」という声を背中越しに聞こえてきた。 ◇ クインシィがジョナサンの元へ向かうのを確認して、ガロードはほっと息をついた。 その瞬間、五分に組み合っていたストレーガが蹴り飛ばされ距離が開く。その距離を利用して黒い大型機が踏み込んでくる。 「うわッ! ちょ、ちょっと、タンマ!! タンマ!!!」 剣戟を受け止めながら叫んだ。が、当然それで攻撃がやむことはない。 乱れ飛ぶ刃がストレーガの装甲を削っていく。だがしかし、厚い。乱撃で断ち割られるほど柔ではない。 「待ってくれって頼んでるのに……鬼か、あんたはッ!!」 だからその乱撃を物ともせずに前に出る。 距離が詰まり懐へ。 そこは剣の距離ではない。拳の、殴り合いの距離。敵機の半分程度の大きさしかないストレーガの距離だ。 そして、渾身の力で殴り飛ばした。 濁音の混ざった金属音。剣で受けた敵が踏みとどまりきれずに30mほど押しやられる。 南極で発見された謎の遺跡に関わる研究者リ・テクノロジストの一人クリフォード=ガイギャックス。通称ドクトル・クリフ。 彼が遺跡の技術を参考にしたものを積み込み作成した四機の機体の中で、この『魔女』の名を関する機体の出力は一際大きい。 それはガナドゥールと同じく始めから戦闘用に作られたがゆえであるが、その特性は違っていた。 ガナドゥールはその突撃力と自律兵器による対応力に長けている。 それに対してストレーガが長けているのは、装甲の厚さと単純な機体自体の攻撃力。 突進力も突破力もない鈍重な機体だが、足を止めての殴り合いではその強固さと出力ゆえに無類の強さを発揮する。 だから、そのストレーガの渾身の一撃はただの拳であったにも関わらず流れを断ち切るには十分だった。 30mの距離が40、50と開いていき、対峙の状態を保ったまま膠着を起こす。 「なんだよ……なんなんだよ、お前らは」 苛立ちが通信に乗って飛んできた。 若い男の声。年は自分よりも少し上といったところだろうか。 「それはこっちが聞きたいね。何だって俺達を襲うんだい?」 無言が衝立になって返ってくる。空気がまるで油のような粘性を持ったかのように重い。 そのまま五秒十秒とときが流れ、ようやく重い口が開く。 「……生き残るために仕方がないんだ。一人しか生き残れないんだ。 お前を見てるといらつく。無駄だろ? 仲間なんて庇ってもどうせ死ぬんだ。 いずれ殺さなきゃいけないんだ。無駄だってなんで分からない……」 その響きはどこか自分に言い聞かせているような音色を含んでいた。 対してガロードの声はどこか陽気だ。 「そんなの分からないじゃないか。あの化け物を倒せば皆で生きて出られるかもしれないんだ」 「分かるよ。そんなのは無理だ。都合のいい言い訳さ。お前は楽なほうに逃げてるだけなんだよ。 自分の為に人を殺すのが嫌だから、他人を守るために人を殺そうとしてる。そのほうが気が楽なんだろ?」 「何でそんな考え方しか出来ないのさッ! みんなで頑張ればどうにかなる。どうしてそう思えないんだよ」 「思えるわけがないだろ! たった一日で半数以上が死んでるんだぞ!! 出来るなら俺もそうしたいさッ!!! でも、誰があんな化け物に勝てる! 一人しか生き残れないここで誰を信じることが出来る!! お前の言っていることは夢見る子供の理想論なんだよ!!!」 「そんなのわかんないよ……わかんないよ、あんたの言っていることは!」 不意に敵機が動いた。その動きはストレーガよりも遥かに素早い。 右回りに回りこむ軌道を取りながらクナイのようなものを投げ出される。装甲に突き刺さった。 だが浅い。気にかける攻撃ではない。そう思ったときにそれが発火し、爆発した。瞬間的に炎と爆煙がカメラを潰す。 だがそれを気にかけている暇はなかった。 「この分からず屋がッ!!!」 痛烈な剣戟が叩き込まれる。それを両手の甲で受け止めるストレーガ。 一拍後には前進を行い距離を潰そうと試みる。その瞬間に圧力は消え、胴を薙ぎ払いながらのステップバック。 装甲と刃の間で火花が散る。が、しかし浅い。だから詰め寄り、拳に力を込めた。 「そっちだろ! 分からず屋はッ!!!」 ◇ 俺は何をやっている? 心底そう思った。 決めたはずだ。 敵が複数なら一体を仕留めた後即離脱と。 姿を見られても構わないと。 生き残るのが一番だと。 機体が復旧したら最初にするべきことは斬りかかることじゃないだろ? 一機はもう仕留めた。だったらここは離脱だろッ!!! そう思いつつも足は動かず、乱入してきた橙色の機体と戦闘を続けている。 何だか知らないが、気持ちがささくれ立っていた。 オープンチャンネルを通じて伝わってきた言葉が、仲間の身を案じる言葉が、気に入らない。 身を挺して仲間を庇うその姿が気に入らない。 「クソッ! クソッ! クソッ! クソッ! なんなんだよ、お前はッ!!」 剣を振り下ろす。拳で受け止められ、真っ向から押し合う。 力勝負。 だが押された。全長40mを越えるヴァイサーガが僅か20mそこそこの敵機に力負けしていた。 それでも押し返そうと力を込めた瞬間、空いている拳で腹を殴り飛ばされてヴァイサーガが後退していく。 腕が一本足りない。まだ完全には復旧を遂げていないのか、動きもやや鈍い。 唇を噛み締める。 悩んで、苦しんで、でも一人でも生き抜こうと決めて、それでも割り切れずに苦しむ自分。 そんな自分がまるで悪役みたいじゃないか。これじゃ道化じゃないか。 納得がいかない。不公平だ。 俺はこんなに苦しいのに……お前はそんなに楽しそうで。 俺を殺してでも生き残ろうとしてるくせに仲間を守ろうとして。 楽をして、思い悩むこともなく、奇麗事ばかり口にして、それでいて何もかもを得ようとしている。 許せない。 許せるものか。 そんな我侭、許せるものか。 歯茎に血が滲むほど歯を食いしばり、殺意が牙を剥く。 迫る橙色の拳を弾き上げ、一旦距離を置いたヴァイサーガが空高く舞い上がる。 「死ねよ。死んじゃえよ……お前なんか、死んじゃえよッッ!!」 悪意を乗せた刃が空気を掻き乱す。その乱れ飛ぶ刃は風を呼び、竜巻を生じさせた。 そして、その渦の中心を刃を突き出し一陣の風となったヴァイサーガが吹き抜ける。 鮮やかだ。 瞳の中、大きくなっていく敵の姿。 その装甲の橙色が鮮やかだった。 刃が突き立つ。 衝撃で大地が陥没し、クレーターのような跡が発生する。 少し外したか? 肩を貫いた剣を見てそう思った。 だが、問題ない。 衝撃で気を失ったのか、敵機に動きは見られないのだ。 後はコックピットを貫きなおしてやればいい。 ゆっくりと。 じっくりと。 正確に。 笑いが込み上げる。 見ろよ。 正しいのは俺だ。 お前じゃない。 死ぬんだ。 死ぬんだよ。 皆、死んじゃうんだよ。 そうさ。仲間なんて気にかけてたら―― 「……生き残れないんだよ。俺も、お前も」 何故か落胆している自分がいる。そんな気がした。 溜息を一つ。気を取りなおして敵機を足蹴にして剣を引き抜こうとしたその瞬間―― 「なッ!!」 ――風がやんだ。 周囲で吹き荒み渦を為していた風が跡形もなく消え去っている。 今の状態は凪。すなわち無風。 信じられずに周囲を見回す。その上空で白銀の物体が煌めいた。 咄嗟に飛び退く。瞬間、飛び退いたその場が削られ穴が空いた。 さっきまで自分のいた場所。そこで白い巨体がゆらりと起き上がる。片手の大きなドリルが特徴的な機体。 見えなかった。突撃してきたその機体の姿が全く見えなかった。それほどの早さだった。 逃げるべきだ。そう思った。 危険な香りがする。ここは逃げて体勢を立て直すべきだ。 だが、それよりも倒したはずの機体が動いている。殺したはずの敵機が生きている。 そのことが勘に障り、神経を逆なでにする。 気に入らない。気に入らない。気に入らない。 そうやって仲間を庇うお前らも、殺し合いを強要するこの世界も、何もかもが気に入らない。 今、生きているお前もだ。 「駄目だろ……お前は死んでなきゃ」 逃げるべきときを見失い統夜が呟く。ヴァイサーガが悪意を乗せて構える。 泥沼に足を踏み込み始めているその身を、彼はまだ自覚していなかった。 ◆ 遠目からはそれは巨大な手鞠のように見えた。 何かが高速で駆け抜ける様が、まるで白い帯のように目には映っている。 一瞬後には消え去る残像に過ぎないそれが幾重にも重なり合って球を為し、柄を為す。 どれほどの速度で駆け抜ければそのような現象が起こるのか。シャギアは思わず息を呑んだ。 だが、それは手鞠などという典雅なモノではない。 そこは暴風圏。言うなれば玉の嵐。足を踏み入れるものを削り取り無に帰す空間。 仕掛けている側も既に敵味方を識別できる状況ではないのだろう。ビルが、道路が、街が、そこに触れたもの全てが削り取られていっている。 たいしたものだ。そう思った。 その暴風圏の中、玉の嵐の中にいてただ一つ抗い、存在し続ける機体が見える。 弾かれ、翻弄されてお手玉のように宙を舞いながらも辛うじてその手に持つ剣で防ぎ、致命傷を避け続けている。 それだけでパイロットの資質の高さが窺えた。 恐らくは見えているのだろう。目がいい。勘も悪くない。だが、時間の問題だ。 守っている方も、攻めている方もだ。 そう結論付けると、シャギアは視線を動かし別の機体をその視野に納めた。 今、向かっているのは玉の嵐にではない。 そこで争う二機の状況は掴めても、どちらが敵で味方なのか、あるいは両方敵なのかは掴めない。 だから、地に落ち倒れている橙色の機体へとシャギアは通信を繋げた。 「そこの機体、聞こえているか? こちらは……」 「その声!」 「なんと、ガロード=ランか」 「何をしに来た? まさか、助けに来た、とかいうんじゃないだろうな」 驚きを禁じえなかった。把握していない生き残りにまさかこの少年がいようとは思っていなかったのだ。 動揺を押し隠す為に間をとる。そして、その間を使って観察の目をガロードの機体へと走らせた。 右肩が貫かれているのが見える。だが、それ以外に目立った損傷はなし。 こちらを私だと確認してなお構えすら取らないのは一時的に機能障害を起こしていると見るべきか。 「そのまさかだな。ガロード、お前の仲間は白と黒どちらだ?」 「……信用してもいいのか?」 「好きに受け取ればいい。だが、勘違いするな。ガロード=ラン、ティファ=アディール。 貴様らを殺すのは私達でなくてはならんのでな」 モニター越しに視線がぶつかり合う。いくらかの逡巡を得たのだろう。 ややあって「白いほうだ」と言葉が返ってきた。 交戦を続ける二機に視線を向ける。先ほどと変わらぬ攻防がそこでは続いていた。 ヴァイクランの性能を持ってすれば、あの速度に割って入ることはまるっきりの不可能ではない。 だが、覚悟はいる。自らが痛手を負うだけの覚悟が、だ。 そして、その覚悟はシャギアにはない。あの中に割って入ろうなどという考えはシャギアには皆無だった。 とはいえ、モノはやりようだな。 通信を兜甲児へ。 玉の嵐へ近づきながらもあまりの速度差に手を出しかねている緑の機体――旧ザク。それがこちらを振り返った。 「甲児くん、ペガスを使いたい。そのためにナデシコまで一時後退を頼む」 「シャギアさん、どういうことなんだい?」 「私に考えがある。任せてもらえないか? プランは今送る」 「わかった」 僅かな逡巡も得ずに実にあっさりと甲児が了承の返事を送ってきた。 信頼もあるのだろうが、この思い切りのよさがこの男の武器なのかもしれない。 そう思った。 僅かに微笑んだのも一瞬、すぐに引き締まったシャギアの顔が上空を見上げる。 手は打った。 だが、無茶な動きだ。あれほどの高速。中のパイロットもただではすまないだろう。 だから、こちらの準備が完了するのが早いか、パイロットが潰れるのが早いか、それは賭けだった。 ◇ 通信機の向うでクインシィが喚いている。 何を言っているのかは聞き取れなかった。もう耳が遠い。視界もぼやけている。 時間が余りない。それが嫌でも自覚できた。 頭の中が白い。余り深いことは考えられないようになってきている。 その代わりなのだろうか。やけに昔のことばかりが頭に蘇ってきていた。 そうだな……そうだ。あのときもママンはこなかった。 8歳と9歳と10歳の時と、12歳と13歳の時もだ。僕はずっと待ってたのに。 ……俺はあの女のようにはならない。 男と女の愛情なんかより、遺伝子の方を信じてたあんたのようになどなるものか。 俺はクインシィ=イッサーをものにして、オルファンの頂に立ってみせる。 その為にもクインシィにはオルファンの玉座にいてもらわねば困るのだ。 他の何を犠牲にしようとも俺はクインシィをオルファンの元へ返す。 一度までなら俺の命すら捧げてやる。事が済んだ後、生き返られればそれでいい。 だがその為には、自分に代わってクインシィを守り抜く存在が必要不可欠だった。 ガロード=ラン、貴様を信用してやる。 この少年に託さねばならないのは癪だった。気に入らない。気に食わない。 だが、それでも託さねばならない。 通信を繋げ、言葉を発しようとして妙な音が鳴り、咽返った。喘ぐ。 血と痰の入り混じったものが、口から垂れて落ちた。 息をするたびに、空気を吸い込むたびに、針でも吸い込んだのかってくらい胸が痛かった。 棘が肺に突き刺さる。 「ガロード=ラン」 返事のあるか無しかはどうでも良かった。どうせもう自分の耳には届かない。 ただ一言、聞いてくれていればそれでよかった。 長い言葉を伝える余力はない。例え短くても多くを伝えられる言葉――それを探した。 「頼む」 出たのは陳腐な言葉。だが、これしかないと思った。 何を頼まれたのかは勝手に奴が思い悩めばいい。その中にクインシィのことも含まれるはずだ。 身を粉にしてクインシィの為に尽くし、最後には死んでゆけ。 傷が深い。 ジャガー号を貫いた剣こそその身を避けていたもののコックピットは半壊していた。 その影響で内部に張り出してきたフレームが胸板を貫いている。 何故これで生きていられる、とは思わなかった。思った瞬間に死ぬような気がしていた。 いや、とっくに死んでいるのだろう。 命の火種はもう尽きている。 燃え尽きたはずの命、その残り火だけで今は動いている。そんな気がした。 血に濡れた口元が笑う。そして、叫んだ。 上げた雄叫びは音にもならず空気を揺らさない。しかし、そのとき確かに雄叫びは上がったのだ。 徐々に狭まっていた視界が戻る。やけに鮮明だった。 視界の隅が敵を捉える。 静かに睨みつけ、ジョナサンは最後の突撃を始めた。 真ゲッター2のノズルが火を吹き、巨大な光をその背に背負う。 鈍間だな。 なんて鈍さだ。 敵の動きは止まって見えた。 何故この程度の敵にこうまで手こずったのか。 まぁ、それももういい。 ここでお前の命は貰っていく。 今ある脅威、それは取り除かねばならない。 嫌だな。ジョナサンは思った。 嫌だ嫌だ。ああ、嫌だ。 あんな小僧を生かすために頑張るなんて柄じゃない。冗談じゃない。 やるべきことはまだ多く残っている。 自分の仕事はまだ終わりではないのだ。 気に入らない。気に食わない。 だが、それでも自分の後を任せられるのは、今奴しかいない。 クインシィを守るという一点に関しては、信用できた。 腕が消えた気がした。足もだ。 体が消えていく。 視界が狭い。 待ってくれ、もう少しだ。そう思った。 もう少しで、目の前の脅威を取り除くことが出来る。 既に手を伸ばせば届くほどに敵は近い。 敵は鈍間だ。 一撃で片がつく。 後一秒。いや半秒でいい。俺に時間をくれ。 このままでは女王のバロンとして示しがつかないではないか。 ジョナサンは思った。 ああ、嫌だ嫌だ。嫌だなぁ。 ◇ 何が起こったのか皆目検討がつかなかった。 敵影が消えたと思う間もなかった。 油断しているつもりは微塵もなかった。一瞬でも気を抜けば落とされるという状況で神経を張り詰めていたのだ。 だが、気づいたときには既に機体は重い衝撃に揺れ、跳ね飛ばされていた。 世界が回っている。堕ちているのではない。 錐揉み回転をしながらヴァイサーガが中空を滑る。そう空気圧の上で滑るほどの勢いで吹き飛んだのだ。 程なくビルに叩きつけられ、ヴァイサーガの動きは止まった。 跳びそうになる意識を繋ぎとめ、呼び戻す。視界が開けた瞬間、白い影が直ぐ脇を掠めて落下した。 それは数棟のビルを巻き込み、突き破り、瓦解させて大地に突っ込んだ。 白いトンガリ帽子に右手のドリル。間違いなく先ほどまで交戦を続けていた敵機だった。 何が起こったのかは分からない。 だが、これはチャンスだった。この場から離脱するチャンスだ。 機体を起こす。逃げようと跳び上がり、背筋が凍りつくような悪寒に襲われた。 咄嗟にその場から飛び退く。 ほぼ同時に暗い何かが眼前を駆け抜け、前面の装甲が軋みを上げた。 巨大な重力波がその場を駆け抜けたのだ。 思わず振り返り、射撃地点を探す。 だが、その方角にそれを打ち込んだはずの者は映らなかった。変わりに視界を覆い潰したのは―― 「……嘘だろ」 ――幾百にも折り重なる火気の群。彼方から飛来し、暁の空を覆い尽くすミサイルの雨。 その狐につままれたような光景に一度思考が停止し、統夜は恐怖した。 「うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!!!!」 五大剣を鞘に収め、退く。 退きながら、烈火刃を取り出しては片っ端から投げ、撃ち落す。しかし、丸で足りない。 烈火刃の残されていたストックは五十本を越えている。だが、その全てを投げ終えてもなお百を下らない数。 気休めにもならなかった。そんな半端な数ではないのだ。 安全圏など何処にもなかった。遮蔽物を利用するとかそういうレベルでは既にないのだ。 この規模のミサイルを完全に避けようと思えばそれは、地下やシャルター以外に選択肢はない。 だが、ヴァイサーガがそれらに入れるはずもない。 「畜生! 畜生!! 畜生!!! そうやって寄ってたかって俺一人いじめて、楽しいのかよ!! お前らはそれで満足なのかよッッ!!!!」 こうなれば多少の被弾は覚悟の上でミサイルの雨の中、駆け抜ける他はない。 その場合、ミサイル一発一発の重みが問題だったが、もうどうにでもなれという心境だった。 どうせ悩んだってどうにもならないのだ。 そして、ヴァイサーガが鞘を払ったのとそこら一帯にミサイルが降り注ぎ始めたのは、ほぼ同時のことだった。 ◇ ミサイル降り注ぐ爆撃地帯から少し離れた上空にシャギアは位置していた。 そこで戦況を見守りつつ通信機に声を吹き込む。 「ミサイル21基。目標座標X3.78-3.88 Y0.77-0.83」 それは通信圏ギリギリに位置する甲児とペガスの二機を経由して目視圏外に位置するナデシコへと伝わる。 一拍遅れて21基のミサイルが指示した地点を襲う。 遠距離攻撃の手段が尽きていることは確認済み。だから、初撃ほど大量の火器は必要ない。 そして、ガロードの退避も既に済んでいる。巻き込む心配は既になかった。 「やったのか?」 「いや、まだだな。チェックメイトにはまだ早い」 爆撃区域を切り抜けた敵機を確認して、甲児の質問に軽く答える。 そう、チェックメイト。すなわちチェスである。シャギアにとってもはや戦況はチェスに等しい。 あの高速戦闘を見たときからそこに割り込む気など皆無だったのだ。 例え勝てるとしても、相手の得意な土俵で戦うことほど愚かなことはない。だから自分の土俵に引きずり込んだ。 速度で勝る相手は手数で圧倒してやればいいのだ。 そして、それはナデシコという強襲戦艦があれば可能だった。 唯一の懸念はこちらの準備が整うまでに白い機体が落とされないかということだった。だが、それはギリギリで間に合ったといえる。 恐らく突撃の際、強烈なGに耐えかねて気絶でもしたのだろう。 バランスを崩し、黒い機体にぶつかって落下したが、その程度で乗り手が死んだとは思えない。 レーダーが敵機を確認する。優越感に浸ったシャギアは笑いが込み上げてくるのを感じた。 「誤差修正+0.082 -0.034」 降り注ぐミサイルの雨を切り払い、被弾しながらも敵は逃げ場を探して駆けている。 さすがにその動きは素早い。だが、予想外の速度ではない。 「X3.68 Y0.69。続けてX3.68 Y0.74。ミサイル各5基」 矢継ぎ早に指示を出していく。南北をミサイルに阻まれた敵機はもはや東に駆け抜けるしか道はない。 その尻を追うように後方に次々と着弾させていく。 自らの手の平の上で逃げ惑うその様は健気で、憐れで、滑稽だった。だが、それももう終わる。 「目標座標X3.88 Y0.71。グラビティーブラスト発射用意」 既にこれまでの流れで敵機の足は掴んだ。後はそれを考慮してそこに最大の一撃を打ち込めば―― 「――詰みだ。グラビティーブラスト発射」 巨大な破壊の力を携え、重力の荒波が撃ち出される。それは阻むもの全てを呑み込み、目標地点も、その延長線上も全てを抉り飛ばして無に返した。 だが、そのとき黒い機体はそこにはいなかった。 誘導されつつあることを薄々感づいていたのだろう。 ナデシコがグラビティーブラストを放つ直前の溜め。ミサイルによる爆撃が止むその一瞬に、向きを変え離脱していたのだ。 だが、それすらもシャギアの読みの上である。黒い機体を二つのガン・スレイブが囲い込む。 そしてその真ん中、黒い機体が足を止めたその場所に―― 「数価変換、ゲマトリア修正……残念だったな、少年。 チェックメイト。さよならだ。ベリア・レディファー」 ――赤黒い火球が打ち込まれ、呑み込み、内包した全てを消失させ、そして爆発。 だがしかし、その爆発後には何もなかった。あるのは一つの巨大な穴のみであり、その下にはまた別の空間が見て取れた。 覗き込む。道は幾筋かに分かれており、その太さはバラバラだった。小さいものは20mほどだが、大きいものは100m近くもある。 追いかけるのは少々骨が折れそうだった。それをする暇もない。 「まさか地下空間が存在するとは……してやられたな」 興醒めといった感じでシャギアは振り返る。そこには兜甲児とガロード=ラン、二人の姿。 補給は必須だろうが戦力を損耗することもなかった。まずまずの戦果と言っていい。 後はガロード=ラン。奴との交渉を穏便済ませればことはうまく進む。それが終わればこんどこそ首輪の解析に打ち込もう。 そう、シャギアは決めて、この空域に侵入してくる巨大な戦艦を見上げた。 【シャギア・フロスト 搭乗機体:ヴァイクラン(第三次スーパーロボット大戦α) パイロット状態:良好、テニアを警戒 機体状態:EN55%、各部に損傷 現在位置:C-8市街地 第一行動方針:ガロードと話をする 第二行動方針:人気がなく見晴らしのいい場所へ移動 第三行動方針:首輪の解析を試みる 第四行動方針:比瑪と甲児を利用し、使える人材を集める 第五行動方針:意に沿わぬ人間は排除 最終行動方針:オルバと共に生き延びる(自分たち以外はどうなろうと知った事ではない) 備考1:ガドル・ヴァイクランに合体可能(かなりノリノリ)、自分たちの交信能力は隠している。 備考2:首輪を所持】 【兜甲児 搭乗機体:旧ザク(機動戦士ガンダム) パイロット状態:良好 機体状態:良好 現在位置:C-8市街地 第一行動方針:ガロードと話をする 第二行動方針:ヒメ・フロスト兄弟と同行 第三行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める 最終行動方針:アインストたちを倒す 】 【宇都宮比瑪 搭乗機体:ナデシコ(機動戦艦ナデシコ) パイロット状態:良好、ナデシコの通信士 機体状態:EN60%、相転移エンジンによりEN回復中、ミサイル90%消耗 現在位置:C-8市街地北東(ナデシコブリッジ) 第一行動方針:甲児・フロスト兄弟に同行 第二行動方針:依々子(クインシィ)を探す 最終行動方針:主催者と話し合う 備考:ナデシコの格納庫にプロトガーランドとぺガスを収容】 【熱気バサラ 搭乗機体 プロトガーランド(メガゾーン23) パイロット状況 神経圧迫により発声不可、気絶中、顔に落書き(油性マジック) 機体状況:MS形態 落ちたショックとマシンキャノンの攻撃により、故障 現在位置:C-8市街地(ナデシコ医務室) 第一行動方針:新たなライブの開催地を探す 最終行動方針:自分の歌でゲームをやめさせる 備考:自分の声が出なくなったことにまだ気付いていません】 【紫雲統夜 登場機体 ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A) パイロット状態 疲労大、苛立ち、マーダー化 機体状態 左腕使用不可、シールド破棄、頭部角の一部破損、全身に損傷多数 EN1/4、烈火刃残弾ゼロ 現在位置 C-8地下通路(実は偶然落下しました) 第一行動方針 この場からの離脱。 最終行動方針 優勝と生還】 【ガロード・ラン 搭乗機体:ストレーガ (スーパーロボット大戦D) パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。 機体状況:右肩に刺し傷、各部にダメージ(戦闘に支障無し) 現在位置:C-8 第一行動方針:シャギアと話をする 第二行動方針:アムロと合流する 第三行動方針:勇、及びその手がかりの捜索 最終行動方針:ティファの元に生還】 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~世界最後の日) パイロット状態:気絶中 機体状態: ダメージ蓄積 、胸に裂傷(中)、ジャガー号のコックピット破損※共に再生中 現在位置:C-8 第一行動方針:勇の捜索と撃破 第二行動方針:勇がここ(会場内)にいないのならガロードと協力して脱出を目指す 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】 【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~世界最後の日) パイロット状態:死亡 機体状態:ダメージ蓄積 、胸に裂傷(中)、ジャガー号のコックピット破損※共に再生中】 【パイロットなし 搭乗機体:ぺガス(宇宙の騎士テッカマンブレード) パイロット状態:パイロットなし 機体状態:良好、現在ナデシコの格納庫に帰還中 現在位置:C-8市街地】 【残り23人】 【二日目7:15】 BACK NEXT 朝ごはんは一日の活力です!! 投下順 leaving me blue 二つの依頼 時系列順 計算と感情の間で BACK NEXT 朝ごはんは一日の活力です!! シャギア 適材適所 朝ごはんは一日の活力です!! 甲児 適材適所 朝ごはんは一日の活力です!! 比瑪 適材適所 朝ごはんは一日の活力です!! バサラ 適材適所 戦いの矢 統夜 疾風、そして白き流星のごとく 戦いの矢 ガロード 適材適所 戦いの矢 クインシィ 適材適所 戦いの矢 ジョナサン
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/12.html
本編目次時系列順 一日目 第一回放送まで 二日目 第二回放送まで 第三回放送まで 三日目 第四回放送まで
https://w.atwiki.jp/k2727324602/pages/416.html
2011年4月14日発売の「第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇」の情報集です。 基本的にネタバレ自重しておりませんのでご注意ください。特に攻略備忘録の部分。 (画像(上):第2次Z破界篇 SPECIAL ZIIBOX/本体) (画像(下):ファミ通1/20号 第2次スーパーロボット大戦Z破界篇 特集記事表紙/電撃版攻略本) <リンク集> 公式ページ:http //www.suparobo.jp/srw_lineup/srw_z2/index.html 携帯サイト:http //wpp.jp/suparoboz2/ (携帯専用) Wikipedia:第2次スーパーロボット大戦Z (攻略wiki)第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇 まとめwiki:http //www44.atwiki.jp/srwz2nd/ <作品概要> <◆基本情報> 関連ページ:スーパーロボット大戦 No No.53 発売日 2011年4月14日 ハード PSP 定価 (通常版)7,329円(数量限定BOX)7,854円 開発 B.B.スタジオ 販売 バンダイナムコゲームス 主題歌 OP:NOAH/JAM ProjectED:願い/JAM Project 時系列前後 (No.52)スーパーロボット大戦L(※)第2次(ゲームアーカイブス)(※)第3次(ゲームアーカイブス)(※)EX(ゲームアーカイブス)(No.53)★第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇(※)第4次(ゲームアーカイブス))(※)新(ゲームアーカイブス))(※)F(ゲームアーカイブス))(※)F完結編(ゲームアーカイブス))(※)α(ゲームアーカイブス))(※)α外伝(ゲームアーカイブス))(No.54)魔装機神OGⅡ REVELATION OF EVIL GOD Zシリーズ (1)スーパーロボット大戦Z(2)スーパーロボット大戦Z スペシャルディスク(3・1)★第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇(3・2)第2次スーパーロボット大戦Z 再世篇 <◆バンプレストオリジナル/味方サイド> 「スコート・ラボ」クロウ・ブルースト(声:うえだゆうじ):主人公。行きがかり上、ラボのテストパイロットとなる。『揺れぬ天秤』のスフィア・リアクター。 トライア・スコート:相方1。ラボの研究主任。 エスター・エルハス:相方2。研究所の居候→訓練生。ブラスタ:格闘優先/射撃優先に調整可能。 その他・現多元世界人エルガン・ローディック:「国連平和維持理事会」代表 シオニー・レジス(声:小林沙苗):「リモネシア共和国」外相/『★新帝国インペリウムに協力。』 カルロス・アクシオン・Jr.:「アクシオン財団」総帥/『★新帝国インペリウムに協力。』 ゼニトリー・マッセ:クロウを追い回す借金取り。 ???(シエロ・ビーター):ゲスト出演。(汎用)アクシオ:アクシオン製の量産機。 <◆バンプレストオリジナル/敵サイド> 新帝国「インペリウム」アイム・ライアード(声:安元洋貴):『偽りの黒羊』のスフィア・リアクター。 マルグリット・ピステール(声:小島幸子):聖インサラウム王国の騎士「アークセイバー」のハイナイト・ナンバー7。/『★再世篇でのパートナー候補3』 シュバル・レプテール(声:室園丈裕):聖インサラウム王国の騎士「アークセイバー」のハイナイト・ナンバー3。 シェーヌ・ピステール:聖インサラウム王国の準騎士であり、マルグリットの弟。本作にはある姿で登場する。 破界の王ガイオウ(声:小山力也):聖インサラウム王国を滅ぼした張本人。(汎用)次元獣ダモン (汎用)次元獣ブルダモン (汎用)次元獣ライノダモン 次元獣ライノダモンMD (汎用)次元獣ディノダモン 次元獣リヴァイダモン:超大型次元獣 アリエティス:アイム機 パールネイル:マルグリット機 エメラルダン:シュバル機 グレート・アクシオン:インペリウム旗艦 ゲールティラン<最終ボス機>:ガイオウ機 独自勢力アサキム・ドーウィン(声:緑川光):クロウとアイムを追うシュロウガ <◆参戦作品> 初出年代 作品名 1970-74年 (なし) 1975-79年 1977年:無敵超人ザンボット3 1978年:無敵鋼人ダイターン3 1980-84年 1980年:◆無敵ロボ トライダーG7 1980年:宇宙大帝ゴッドシグマ 1980年:宇宙戦士バルディオス 1981年:◆六神合体ゴッドマーズ 1982年:戦闘メカ ザブングル 1983年:★装甲騎兵ボトムズ 1983年:超時空世紀オーガス 1985-89年 1985年:※機動戦士Ζガンダム 1985年:◆超獣機神ダンクーガ 1985年:★装甲騎兵ボトムズ ザ・ラスト・レッドショルダー 1988年:★装甲騎兵ボトムズ レッドショルダードキュメント 野望のルーツ 1988年:◎機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 1990-94年 (なし) 1995-99年 1995年:◆新機動戦記ガンダムW 1996年:機動新世紀ガンダムX 1998年:◆真ゲッターロボ 世界最後の日 1999年:★地球防衛企業ダイ・ガード 1999年:∀ガンダム 1999年:THEビッグオー 2000-04年 2002年:OVERMANキングゲイナー 2004年:機動戦士ガンダムSEED DESTINY 2004年:超重神グラヴィオン ツヴァイ 2005-09年 2005年:創聖のアクエリオン 2006年:★コードギアス 反逆のルルーシュ 2007年:★機動戦士ガンダム00 1st season 2007年:◆獣装機攻ダンクーガノヴァ 2007年:★天元突破グレンラガン 2007年:★装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 2008年:◆マクロスF 2008年:★劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇 2009年:★◎劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~ 2009年:★真マジンガー 衝撃!Z篇 2009年:★交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい 2010-14年 (2011年/本作) ※年代参考:資料01:SF映像作品リスト ※初出年次順で掲載。★黄色セルは新規参戦。◎は機体のみ参戦。◆付はZシリーズ新参戦(完全新規参戦を除く)。 ※「超獣機神ダンクーガ」については、OVA初出の各種要素を含む(リンク先参照) ※Ζガンダムは劇場版準拠での参戦。ただし、公式には特段「劇場版」としての紹介はされていない。 <(参考)非リスト作品> ※上記リストにはないものの、実質的に参戦している作品 初出年 作品名 備考 2005年 機動戦士Ζガンダム(劇場版) 実質的に参戦(上記参照) 2007年 ◎劇場版 創聖のアクエリオン-壱発逆転篇- 実質的に参戦 - オリジナル <ゲーム情報> 【全話一覧】第2次Z破界篇シナリオ一覧(まとめ中) <攻略記録・その他雑感> 【攻略備忘録(攻略メモ/雑多メモ)】ストーリー上のネタバレワードについては反転式にしました。とはいえ攻略メモの性質上、多少のネタバレはありますのでご注意を。 第2次Z破 01~05話 第2次Z破 06~10話 第2次Z破 11~15話 第2次Z破 16~20話 第2次Z破 21~25話 第2次Z破 26~30話 第2次Z破 31~35話 第2次Z破 36~40話 第2次Z破 41~45話 第2次Z破 46~最終話 【第2次Zプレイレビュー】(非ネタバレ)20110413 第2次スーパーロボット大戦Z 攻略方針 20110417 第2次スーパーロボット大戦Z 第1次レビュー(~第14話) 20110418 第2次スーパーロボット大戦Z 第2次レビュー(~第29話) 20110419 第2次スーパーロボット大戦Z 第3次レビュー(~第31話)(特殊技能・強化パーツ) 20110420 第2次スーパーロボット大戦Z 第4次レビュー(~第33話)(曲・プレイ感) 20110421 第2次スーパーロボット大戦Z 臨時報告 20110422 第2次スーパーロボット大戦Z 第5次レビュー(~第36話) 20110423 第2次スーパーロボット大戦Z 第6次レビュー(~第46話)(要注目戦力) 20110424 第2次スーパーロボット大戦Z 第7次レビュー(~最終話)(プレイ結果・撃墜数ランキング) 20110429 第2次スーパーロボット大戦Z 攻略振り返り(SRポイント・ラスボス) 【雑感】20110106 第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇速報 20110107 第2次スーパーロボット大戦Z ファミ通記事&スパログ告知 20110112 第2次スーパーロボット大戦Z 第1段PV前夜 20110113 第2次スーパーロボット大戦Z 第1段PV当夜(放映当日は1/12) 20110114 シリーズ累計52タイトル 20110121 第2次スーパーロボット大戦Z ファミ通第2報 20110204 第2次スーパーロボット大戦Z ファミ通第3報 20110325 第2次スーパーロボット大戦Z 最新情報 20110428 第2次スーパーロボット大戦Z 第1週売上 20110505 第2次スーパーロボット大戦Z 第2週売上・他
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/116.html
赤と流星、白と勇者王 ◆C0vluWr0so 「……それでさきほどは取り乱していたわけか。すまない、不注意に近づきすぎたな」 「いえ……それより、その放送……本当なの?」 「ここで嘘をついても私たちに何の得がある? 内容が真実かどうかは別だが『放送された』。これは紛れもない真実だ」 ……場が沈黙で満ちる。シャア・アズナブルとアイビス・ダグラスは穴を掘っていた。 ざく……ざく…… ここに埋められる人間……彼女、アイビスがここに来て初めて出会ったのがジョシュア・ラドクリフだった。 ざく……ざく…… 彼は優しかった。……優しすぎた、このゲームで生き残るには。 ざく……ざく……ざく……ざく…… もしアイビスをかばって戦闘をしなければ、死ぬことは無かったはずだ。 ざく……ざく……ざく……ざく…… 自分の未熟さが、死を呼び寄せた。これも放送同様に紛れもない『事実』。 「ふぅ。このくらい掘れば十分だろう。さぁアイビス、遺体を……うおっ?」 大粒の涙が少女の頬を濡らす。そのままその場に崩れ落ちるのにそう時間はかからなかった。 「ジョシュア……ジョシュア、あんた馬鹿だよ……。わたしみたいな奴かばって死んじゃって…… ラキっての、大切な人だったんでしょう!? ま、守る相手間違えて死ぬなんて…… うっ、ひっく……この馬鹿っ!」 「アイビス……」 シャアは、言葉をかけられなかった。このような年端もいかない少女に自分のような人間がいくら声をかけたとて慰めにはならない。 だからぶった。涙流れるその頬を、平手で。 「しっかりしろ! この青年とて死ぬ気は無かったはずだ。だが死んだ。ここでは本人の意思など関係ない。生きたくとも死ぬ者は死ぬ。 だが生きる気のない者が生き残ることは決して無い。お前はジョシュアの死を無駄にしたいのか? 本気で生きろ。それが残された者に出来る最善の弔いだ」 頬に響く痛みが彼女の神経を刺激する。それは死んだ者ではもう味わえない感覚。 「でも……でもジョシュアはっ」 「いい加減にしろっ! わからんのなら何度でも叩いてやる! その頬に伝わる痛みは、今死んだ十人がいくら望もうとも、二度と手に入らん痛みだ。貴様は何故それがわからん!」 ……それでも、アイビスは立てずにいる。彼女はまだ、この現実を受け止めるだけの心が無かった。 夢に向かっていたあの頃なら彼女は折れない心を持っていたかもしれない。ツグミ、スレイ、フィリオ。楽しかった。ひたすらに前だけ見て進んでいた。 ああ、わたしはもう駄目なのかもしれない―― せっかくジョシュアが繋いでくれたのに―― ジョシュアの遺体を見る。爆散したにもかかわらず、奇跡的にまだ原型をとどめている。それでも見るも無惨な姿になってしまっていた。 その手は、強く胸を掴んでいた。まるで自分と想い人の心を繋ぐかのように。 「……ラキ」 彼が最後に呼んだ名前だった。今、自分に出来ること。それはジョシュアの意志を伝えることなのかもしれない。 わたしから彼への、間に合わなかった恩返し―― ふらふらとアイビスは立ち上がった。おぼつかない足取りでジョシュアの元に駆け寄る。 「ジョシュア……。ごめん、あたしのせいでこんなことになっちゃって……。でもこれだけは、これだけは約束するから。 あたしが必ずラキに伝えるよ。あなたの意志を。彼女に伝えられなかった言葉を」 涙を拭き、今度こそはっきりとした足で立つ。未だ瞳は暗く、絶望の色は濃い。 それでもあたしにはこの足がある。地に墜ちる流星でもいい。 はいずり回ってでも見つけてみせるから、だから安らかに眠って、ジョシュア。 (ふふ、私の言葉でようやく立ち直ることが出来たようだな) アイビスの吹っ切れた様子を見て、シャアはほくそ笑んでいた。 (彼女もまた私の盾となってもらおうか……。しかし早いところマシな機体が欲しいな) 勘違い男シャアの行く末は、果たしてどこになるのやら。 「ン……終わったか」 アムロは機体に乗ったまま外部スピーカーで二人に呼びかける。心なしかアイビスから不安定さが消えつつあるようだ。単純にそのことを嬉しく思った。 「アイビス、君はこれからどうするつもりだ? その、ラキという人物を探すつもりなのか?」 「ええ。……それが、あたしがジョシュアに出来る唯一のことだと思うから」 「ふむ。ならばやはり我々と共に行動することを提案しよう。探す手がかりも無いのだろう? 我々と共に動いた方が互いの生存率を高めることになる」 「分かったわ。確かにわたしもラキに会うまで死ねないし。見たところアムロさんは操縦技術も優れているみたいだしね」 「む……。それは聞き捨てならんな。今でこそこのような兵器に乗っているが、私とて赤い彗星と恐れられていた男だぞ」 「振り回されて嘔吐していた奴が何を言う。ただでさえ貴様の機体は危険なんだ。 いざというときにはブレンが持っているというワープで退避しろ。核に巻き込まれて死亡などまっぴらごめんだからな」 情報交換も済み、出発しようと各自機体に乗り込んだ時、バルキリーのレーダーが接近する機体を捉えた。 「なんだと? 接触するか?」 「ああ。交渉は俺に任せてくれ。二人は大事をとって少し離れていてほしい」 レーダーが機体の接近を知らせる。アムロは回線を開き接触を試みる。 「こちらに戦闘の意志は無い。ひとまずそこで止まってくれ」 しかし機体はこちらに近づくことをやめはしない。距離が縮まるにつれて相手の姿がはっきりとしてきた。左半身がただれ、激しい戦闘を経験したということを物語っている。 「おいそこの機体! 早く止まれ!」 相手はマーダーかもしれない―― 焦燥に駆られ、声を荒げるも相手は全くこちらの指示を聞くつもりはないようだ。 「……てぇんだよ」 「え?」 「身体中が死ぬほどいてぇんだよぉぉぉぉぉ! 脳みそがぐちゃぐちゃ掻き回されてるみてぇだぁぁぁぁ!」 アムロは困惑する。相手は錯乱しているようだ。下手に刺激しては逆効果か? 「落ち着け! こちらに戦闘の意志は無い! 機体を止めてくれ!」 「殺す……殺す殺す殺す殺す殺す殺す……死ねぇっ!」 突如放たれた攻撃に瞬時に反応し、バルキリーは回避運動をとる。しかし完全にかわすことは出来なかった。 「くっ……! かすっただけでこの威力か!」 哀れバトロイドの左腕は肘から先が消し飛び、相手の圧倒的な攻撃力を表していた。 スターガオガイガーの攻撃はやまない。次々と放たれる拳撃にアムロは逃げ回るしかなかった。 「アイビス、シャアを連れて逃げてくれ! 核の近くでこいつの相手は危険すぎる!」 戦闘を続ければいつ核が誘爆してもおかしくない。そう判断したアムロはアイビスにシャアを任せる指示を出す。 「アムロ! 私たちはF-2の補給ポイントにて待つ! ……死ぬなよ、お前を倒すのはこの私だということを忘れるな」 「アムロさん……絶対、生きて迎えに来てください」 「ああ! こちらは任せて早く行け!」 バイタルジャンプをすべくブレンを動かそうとしたアイビスの目に、大破したグランチャーの姿が入った。その手元に転がるのはソードエクステンション。 とっさの判断でそれを掴み、核ミサイルを連れて即座にチャクラの波に乗る。 (ジョシュア……。あなたの力を借りていくよ。私たちを守ってちょうだい) ブレンと核が戦線を離脱したことを確認し、アムロは安堵した。 だがそれでこの目前の機体の攻撃がやむわけではない。 「うおぉぉぉ! ブロォォクン……ファントォォム!」 もし直撃すれば薄い装甲のバルキリーではひとたまりもない。だが連邦のエースたるアムロは、出会い頭の一撃以外には攻撃らしい攻撃を受けていなかった。 牽制の意味を込めガンポッドを放つも、スターガオガイガーの厚い装甲にはかすかな傷が入るばかり。戦力差は明らかであった。 (やはりこのままではジリ貧か……?) 弾薬を半分ほど消費しても向こうには怯む様子一つない。それどころかこちらが攻撃を重ねる度に戦意を、怒りを高め攻撃は激しくなるばかりだ。 「ちょこまかちょこまかとうるせぇンだよぉ!」 先回りし、膝蹴りを放つスターガオガイガー。機体を急制動しその一撃をかわすアムロ。 「生憎だが……こちらもそうそう負けるつもりはない!」 白い悪魔と堕ちた勇者王。力と技との攻防を制すのは果たしてどちらか。 その行方を知っているのは―― 主催者たる異能の怪物のみなのかもしれない。 【アムロ・レイ 搭乗機体:VF-1Jバルキリー(ミリア機) (マクロス7) パイロット状況:良好 機体状況:左腕肘から先を消失、弾薬を半分ほど消費 現在位置:H-2北東部 第一行動方針:目の前の敵(ゴステロ)をどうにかする 第二行動方針:シャア達との合流 第三行動方針:首輪の確保 第四行動方針:協力者の探索 第五行動方針:首輪解除のための施設、道具の発見 第六行動方針:核ミサイルの破棄 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している】 【ゴステロ 搭乗機体:スターガオガイガー(勇者王ガオガイガー) パイロット状態:全身と脳に激痛、激しい怒りと興奮 機体状態:左腕損失(プロテクトウォール不可)、左半身にダメージ、EN中消費、装甲表面に多少の傷(戦闘に支障なし) 現在位置:H-2 第一行動方針:目の前の敵(アムロ)を殺す 第二行動方針:エイジ・カミーユ・ゼクス・ユーゼス・ベガを殺す 最終行動方針:生き残り優勝 備考:移動中に補給をすませました。】 【シャア・アズナブル 搭乗機体?:核ミサイル(スーパーロボット大戦α外伝) パイロット状況:良好 機体状況:真っピンク 現在位置:G-2 第一行動方針:F-2補給ポイントへ向かう 第二行動方針:アムロと合流 第三行動方針:仲間を増やし自分(と核ミサイル)を守らせる 第四行動方針:強力な機体の入手 第五行動方針:首輪を確保する 第六行動方針:缶切りを手に入れる 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考:核ミサイルの荷物収納箱からブライト、ガトー、アズラエルのマスクを発見、所持。 ボイスチェンジャー機能付き。H-2の何処かにシャアの吐瀉物あり】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ヒメ・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:良好 機体状況:ソードエクステンション装備。機体は表面に微細な傷。 バイタルジャンプによってEN1/2減少。これ以上の長距離バイタルジャンプ不可。 現在位置:G-2 第一行動方針:F-2補給ポイントへ向かう 第二行動方針:アムロと合流 第三行動方針:ラキを探し、ジョシュアのことを伝える 最終行動方針:考えていない 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません。 】 【時刻 19 30】 BACK NEXT 少女ハンター・ランドール 投下順 Time Over ―私の中のあなたにさよならを― 例え死者は喜ばずとも 時系列順 壁に耳あり、障子に目あり BACK NEXT 狂宴 ゴステロ 失われた刻を求めて オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 アムロ 失われた刻を求めて オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 シャア 星落ちて石となり オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 アイビス 星落ちて石となり
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/113.html
追う鬼、追われる鬼 ◆caxMcNfNrg 「ふう・・・」 死者を告げる少女の声を聞き終えて。 ユリカは安堵の溜息をつき、直後にその自身の行為に嫌悪感を覚えた。 確かにガイの名は―密かに案じていた思い人の名も―読み上げられなかったものの・・・ ここに来てからの知人である、リリーナ=ドーリアンの名が羅列の中にあった。 つい一時間程前には、この場で顔を合わせて話していたというのに。 先程までは確実に生きていたはずの彼女は、もう、この世から消えてしまったのだ。 少女の顔を思い出し、ユリカの胸中は悲しみと不安に顔を俯かせる。 そして・・・偶然目に入ったモニターに、ある物を見つけた。 「まったく、なんだっていうのよ!」 荒れ果てた舗装道で、聞く者も居ない文句が繰り返される。 足元の小石を蹴飛ばしながらソシエは一人、進軍していた。 ちなみに、彼女の怒りの原因は先程聞こえた放送・・・では無く、 彼女に気づかずにどこかに行ってしまった、参加者達にたいするものだったりする。 (10名もの死者が出たことに対する、主催者への怒りも無いわけではないが) 「だいたい・・・助けに来たはずなのに、なんで助けた相手を忘れてくのよ」 そんな事をぼやきながら、再び小石を蹴飛ばす。 足元から勢いよく放たれたそれは綺麗な弧を描きながら、近くに出来た大きな穴の中へと消えた。 「ああ、もう!」 小石にすら馬鹿にされている。 そんな思いにかられたソシエは、肩をいからせながら石の消えた大穴へと近づき・・・ 慌てて元の場所、すなわちビルの影へと戻った。 「な、なんなのよ、あれは・・・」 十字路の中心に大きく開いた亀裂。 そこから右の方、歩いて数百メートルも行かない場所に、信じられないほど巨大なトカゲが居たのだ。 「まったく・・・なんだっていうのよ」 何度目になるかもわからない文句を繰り返しながら、ソシエは溜息を吐いた。 同じ頃、無敵戦艦の艦橋ではモニターの一点を、じっと見つめるユリカの姿があった。 ダイの左側面付近にある亀裂のあたりで、小さな人影らしき物を見つけたからだ。 一瞬で物影に消えてしまったので背格好などはわからなかった。 だが、この付近で活動している生身同然の姿をした者には、心当たりがある。 もちろん、ガイが機体を乗り捨てて帰ってきた可能性も考えたが・・・それなら、隠れる必要性も無い。 やはりあれは、リリーナ=ドーリアンを殺した人物なのだ。 ならばどうするか?相手は倍以上の大きさの機体と、互角以上に戦える力や機動力の持ち主だ。 ただでさえ鈍重で死角の多いこの機体では、まともに戦って勝てるかどうか・・・ こちらの利点を挙げるとすれば、ダイの保有している都市一つを破壊するほどの火力。 加えて補給ポイントの真上という地の利。そして、先手を取れるという有利。 おそらく・・・相手はまだ、こちらが存在を感知している事に気づいては居ないだろう。 そう考えると、こちらが取れる戦術は限られてくる。 ユリカはミニミサイル全基の照準をビルに合わせ・・・一斉に発射する。 それと同時にダイの首を補給装置のスイッチへと伸ばした。 どれくらいの時間がたったのだろうか・・・その場所にはある一点を基点とした焼け野原が広がっていた。 その中心、補給装置を覆うように佇む戦艦の艦橋で・・・ユリカは床に座り込み、震えている。 すでに暗くなった周囲には、何者の反応も感じることはできなかった。 およそ一時間以上もの間、爆風に晒され続けたのだ・・・おそらくは仕留めたのだろう。 しかし、敵を倒した喜びは無い。ユリカの胸中にあるのは不安と恐怖だけだった。 「ガイさん、はやく帰ってきてください・・・アキト・・・」 ユリカの小さな呟きが、暗い艦橋の中で消えた。 【ミスマル・ユリカ 搭乗機体:無敵戦艦ダイ(ゲッターロボ!) パイロット状態:不安 機体状態:大砲一門破損、左前足損傷、腹部装甲損壊 現在位置:D-7補給施設 第一行動方針:ガイ(アキト)を補給施設で待つ 第二行動方針:補給施設を占拠して仲間を集める 第三行動方針:ガイの顔を見たい 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考1:YF-21のパイロットがアキトだと知りませんが、もしかしたらとは思っています アキトの名前はガイだと思っていますが若干の疑問もあります 備考2:ハイパーデンドー電池8本(補給4回分)回収 備考3:リリーナを殺した人物(シンヤ)を仕留めたと思っています】 【初日 19 20】 焼け野原と化した市街地の直下。 真っ暗な下水道をふらつきながら歩く人影があった。 折れた右足を引きずりながらソシエは一人、進軍している。 ミサイルがビルに着弾した瞬間、彼女は爆風により大きく吹き飛ばされ、 そのまま、近くにあった亀裂の中へと落ちていたのだった。 幸い水の中に落ちたので、右足の骨折程度で済んだものの・・・ その痛みと、蓄積された疲労で彼女の体力は既に限界だった。 コンクリートの壁に背を預け、少女は気絶するように座り込む。 目を瞑り荒い息を吐く少女の手には、小さな石が一つ、握り締められていた。 【ソシエ・ハイム 搭乗機体:なし パイロット状況:右足を骨折、疲労大 機体状況:なし 現在位置:D-7地下下水道 第一行動方針:休息をとる 第二行動方針:新しい機体が欲しい 第三行動方針:仲間を集める 最終行動方針:主催者を倒す】 【初日 19 30】 BACK NEXT 騎士の美学 投下順 歌えなくなったカナリア 嵐の前 時系列順 例え死者は喜ばずとも BACK NEXT 血に飢えた獣達の晩餐 ユリカ とある竜の恋の歌 血に飢えた獣達の晩餐 ソシエ 少女ハンター・ランドール
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/299.html
極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 ◆960Bruf/Mw 瓦礫の街並みの中、四機の航空機が羽を休めている。 その羽の下、崩れた家屋の残骸に腰をおろしている男がいた。男の名は神隼人という。 その眼は三機のゲットマシンを見ていた。 ――間違いなくゲッターだ。 真ベアー号に乗り込んだときに理解した。コックピットの内装、ゲットマシンの外観こそ知るものと異なってはいたが、首輪が教えてくれた。こいつは―― ――真ゲッター。 ゲッターの後継機としてつくられた機体。早乙女博士の尽力にも関わらず、5年前のあの日起動しなかった機体。それが―― ――なぜ動いている? 早乙女研究所の地下に封印されていたはずだ。 ――いや、それよりも……。あの時、こいつが動いていればムサシは。 噛みしめた奥歯が鳴る。古傷が顔に浮かび上がってきていた。 一つ深呼吸をして心を静める。 ――落ち着け。好都合だ。 あの化け物がどうやってこいつを持ち出したのかは知らんが、好都合だ。 決して動かなかったこいつが何故か順調に稼働している。そして―― 動かした視界に一組の男女が映し出される。 おそらくクインシィを宥め連れ戻すのに苦労したのだろう。ガロードは正座で終わりの見えない説教を受けていた。 ――ゲットマシンを扱えるパイロットがここに二人いる。 あの化け物はただ無作為に人を集め訳じゃないらしい。 翔と剴を見つけた後、どうしても見つけることが出来なかった三人目がここに二人もいる。 となると、当面の目標は三人目を探すことか。 そこでようやく隼人は、助けを求めてチラチラと視線を送ってきているガロードに気づいた。 「クインシィ、そのくらいにしておけ」 少女の意志の強そうな瞳がこちらを向き、鋭い視線と怒気の矛先がかわる。 それをこともなげに受け流し、話し出した。 「俺たちは別々の世界から集められた可能性がある……」 最初に交換した情報の中に各自の世界観が異なることはすでに検討がついていた。 「そ~いうこと。ヘイコン世界に住む者同士ってわけだ」 「並行世界だ」 以前、クインシィと同様の会話をしていたガロードが得意気に相槌をうち、即座にクインシィの訂正が入る。 「それでこれからの話だが、お前たちはこのままゲッターに乗れ。俺もこのままYF-19に乗る」 その言葉に、これまで隼人に対してゲッターという単語を口にしてないクインシィの眉がぴくりと動いた。 「そう警戒するな。あれは元々俺がいた世界で俺が乗っていたものだ。お前たちよりはあれに詳しい」 そして「もっとも肝心なときに動かなかったがな……」とどこか自嘲気味に続ける。 「なら、なぜお前も乗り込まない? 」 「古傷があってな……。だが、そんなことはどうでもいい。それよりひとまず話は中断だ」 『アー、アー、ただいまマイクのテスト中ですの……』 まるで見計らかったかのようなタイミングで、どこらかともなく少女の声が響いてきた。 ――6時間で10人。 それを多いととるか少ないととるかは、人それぞれである。 平時に50人強の集団から6時間で10人の死者が出たと考えれば、それは異常に多いだろう。だが未曾有の災害に巻き込まれたと考えれば、その数は少なかった。 しかし、あの化け物が提示したルール上死者はまだまだ増える。 最終的に1人しか生き残れないのであれば、その犠牲の数はやはり異常だ。 ――1人? 疑問が浮かんだ。 この殺し合いはシステム上必ず1人は生き残るように設定されている。 ――何のために? 自分に科せられた首輪を撫でる。 ただ殺すのが目的ならば、奴らはたやすくやってのけれるはずだ。 最初に集められたときでも、今この瞬間でもだ。 つまりこれは我々を殺すのが目的ではない。ただの娯楽、気まぐれ、余興と言われてしまえばそれまでだが……。可能性としては―― 「選定……もしくは観察か……」 ここに集められる前の記憶――ネオゲッターチームを集めるために自分が出した犠牲者を思い浮かべる。 ――なんてことはない。俺もあの化け物と同類か。 小さく哄笑が漏れた。 「俺について来い。まずはゲッターを合体させるぞ」 「なぜお前にそんなことを命令されなければならない」 立ち上がり歩き出そうとした隼人にクインシィが噛みつく。 「こんなとこで死ぬのはごめんだろ? なら今はくだらんプライドは捨てて俺に従え。ゲッターの扱い方を教えてやる」 視線がぶつかり合ったあと、隼人は背を向けて真ベアー号のほうに歩きだす。 背後では納得がいかないといったふうのクインシィを、ガロードが宥めていた。 痩身長躯の男が真・ジャガー号のコックピットに張り付き、ガロードにあれこれと指示を飛ばしている。 その様子をモニター越しに眺めていた。 ――気に入らない。 神隼人と名乗るその男は、沈着冷静、頭脳明晰、そういった類の人間なのだろう。 そして、おそらくは最低限の冷徹さも兼ね備えている。 物に例えるならばナイフのような男――それが抱いた感想だった。 この先、生き残っていくのには必要な男。それは理解していた。 だが、どうにも気に入らない。イライラする。ようはそりが合わないということなのだろう。 ――くだらないな。 そう思い。気持を落ち着かせる。気持の問題など些細なことでしかない。 「クインシィ、操縦方法は頭に入っているな。ベアー号はオートで発進させる。まずはゲッター1だ。イーグル・ジャガー・ベアーの順で合体しろ。いいな」 隼人から通信が入る。それにほんの一瞬前までの考えを忘れて、彼女は苛立った。 どこか上から物を言うような口調、それが気に入らない。 「黙ってみていろ。私の好きにやらせてもらう」 感情が判断を鈍らせることを下らないと思いつつも、感情的になる自分を御することができない。クインシィはそういう自分に気づいてはいなかった。 赤、白、黄色、三色のゲットマシンが空を飛び、一列に連なる。やがてその間隔は狭まり、合体は三度目で成功した。 「遅い! 時間がかかりすぎだ」 筋はいい。そう思いつつ苦言を飛ばす。クインシィから返事はなかった。 「まぁいい。次はゲッター2だ。ジャガー・ベアー・イーグルの順に……」 そこまでで一度隼人は言葉を区切った。 「神さん? 」 不審に思ったガロードが声をかける。 「ひとまず中止する。南西の方角にお客さんだ」 ビル群の中をゆっくりとこちらに近づいてくる青い巨人の姿が目視できた。 距離から推し量るに、その巨体は真ゲッターと同程度の大きさであろうか。 その足取りの確かさからまずこちらを確認していると見てほぼ間違いなさそうだった。 ひとまずは接触すべきと考え、一歩前に踏み出す。 その瞬間、一陣の風が隼人の横をすり抜けていった。 零コンマ何秒の世界でその赤い風はキロ単位の距離をふいにし、無造作に頭蓋を鷲掴み、大地に叩きつける。 技術もへったくれもないただ力任せの一撃。しかし、掛け値なしの渾身の一撃。 重低音が響き、土煙が柱の如く聳え立つ。 不意を突かれた隼人も、ガロードも、静止は愚か反応さえもできない間の出来事だった。 ラキと出会ったときに相対した相手だ。警戒はしていた。 その時の経験をもとに不意を突かれないだけの距離は取っていた――はずだった。 どろりとした血液が額を伝って流れ落ち、口の中には錆びた鉄の味が広がる。 軽く脳震盪でも起こしたのか、視界がぶれてうまく焦点が合わない。揺蕩う視界に赤い悪魔が映し出されていた。 「………した…」 ガラスを引っ掻いたような耳鳴りがするなか、呟きが聞こえてくる。 「……どこへ隠した。勇をォどこへ隠したアアァァァァアアアアア!!!! 」 聞き返す間もなく呟きは叫びへとかわる。 フォルテギガスの頭蓋が持ち上げられ、今度はビルの壁面に叩きつけられる。 「答えろ! 勇はどこだ? 」 「な、何のことだ? 」 何かが潰れるような鈍い音を響かせてフォルテギガスの頭部が打ちすえられる。 「隠すな! お前は知っているはずだ。勇の……私の弟の行方を!! 」 意味が分からなかった。 勇という知り合いはいなかった。グラドスにも、地球にも、ここにもだ。 にもかかわらずこの少女は自分が勇を知ってると思い込んでいる。 まったく意味が分からなかった。 ただ一つわかるのは――この少女がどこか普通ではないということだけだった。 赤い悪鬼が巨人の頭蓋を鷲掴みにしていた。 いや既に頭の形を保っていないそれは、頭蓋と呼ぶにはふさわしくないかもしれない。 言ってみれば潰れた鉄屑だった。 それが大地に、ビルの壁面に、ところ構わず無造作に叩きつけられている。 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も 永遠にループするその光景を現すなら、『凄惨』の二字がぴったりであっただろう。 「ガロード、何が起こっている! 状況を説明しろ!! 」 その狂気の惨劇を眼の前に、隼人が吠える。 「俺にだってわかんないよ。こんなお姉さんは初めてなんだ!! 」 返ってきた返答に苛立つ。 「ともかく。クインシィを落ちつかせろ」 吐き捨てるように言い、モニターに視界を戻した。 巨人が逃れようと鷲掴みにする腕を両の手で掴んでいる。しかし、既に力はない。そんな感じだった。 ――いや、あれは。 「クインシィ、離れろ! 」 隼人が叫ぶのとほぼ同時に、フォルテギガスの胸部にある四つのハッチが十字に開かれ、閃光が放たれた。 立ち込めた爆煙を裂いて東西に赤と青――二機の巨人が弾けとび、数棟のビルが巻きこまれて瓦解する。 ――くそっ! まさかあんな方法で相殺されるなんて。 逃げられないように腕を掴み放った起死回生の一手――フォルテギガスのギガブラスター。 それはゲッターの腹部から放たれたゲッタービームに相殺され、二機は弾けとんだ。 「レイ、損傷を……」 そこまで言いかけて居ないことを思い出し、機体を立て直す。 立ち上がったフォルテギガスの中、視界が回る。腹の底から何かが込み上げてきて思わず吐き出す。出てきたものは赤かった。 あれだけ絶え間なくコックピット内部で揺れに翻弄され続けていたのだ。無理もない。 揺れる視界、いかれた平衡感覚、遠距離戦は不可。逃げ切ることも難しい。 ――どうにかして接近戦に持ち込むしかない。 特殊自律型兵器フィガ、それを射出して距離を詰める。そう決めたときに予想外の衝撃がエイジを襲う。 強き巨人の名を冠する50m超の巨体が地に埋没し、エイジの意識は途絶えた。 首のないその風貌が死を司る首なしの騎士――デュラハンを連想させる機体が、強き巨人を足蹴にたたずんでいる。 爆発が一つ起こり、近場に一つの機体が吹き飛ばされて来た。 即座に駆け寄り、蹴り倒し、踏み潰した。そこには容赦も慈悲もない。 生きる為に他人を蹴落とす。今の彼にとっては至極当然の行為だった。 「ちっ、さすがにでかいだけあって硬え」 踏み砕くつもりで潰したはずの巨人の背にはヒビが入っていたが、砕けてはいない。 そこに踵の裏で圧力をかける。 装甲の外板が悲鳴をあげ、四方を持ち上げつつ?がれていく。圧迫された内部の機器が火花を散らし、黒いオイルが血の如く飛び散った。 その時、立ち込める土煙を裂いて赤い悪鬼が姿を現した。 横薙ぎにはらわれる大鎌。 咄嗟のダッキング。風切り音が頭――否、首の直上をすり抜けていった。 そのまま懐に潜り込み、振り上げられる拳。 金属同士がぶつかり合う音が響き―― ――大鎌の柄と拳が接触した。 「なっ!? 貴様は誰だ! 」 「俺の知らないゲッターだと!? 」 互いの言葉が交錯する。押し合う拳と大鎌。 「その声、竜馬か! 」 「……!? 」 割り込んだ声に誘発され生じたわずかな隙。それを見逃さずクインシィは力を緩め、拳を受け流す。 前のめりに崩れる大雷凰。上段に大きく振り上げられる大鎌。 次の瞬間、『轟』と呻りをあげて振り下ろされた大鎌は―― ――大雷凰の数センチ上でピタリと静止した。 大雷凰の腕が大鎌の柄をがっちりと掴んでいる。 「てめえ……、隼人かああぁぁぁああああ!!! 」 強引に大鎌の柄でゲッターの顎をかちあげる。 ふわりと浮かび上がるゲッター。そのまま流れるように繰り出された大雷凰の回し蹴りが―― ――ゲッターの脇腹に食い込み、その巨体が弾け飛ぶ。 「プラズマビュート! 奴を逃すな!! 」 まだ終わりではない。発せられたのは青白く輝くプラズマの荒縄。 捕えられるゲッター。強引に引き寄せられ、一度広がった両者の距離が急速に縮まる。 「調子にぃ……のるなああぁぁぁぁぁぁああああ!!!! 」 ゲッターバトルウィングが展開されプラズマビュートが断ち切られる。 肩口から斧槍――ゲッタートマホークを取り出し、速度を落とすことなく――否、むしろ加速しつつゲッターが大雷凰に迫る。 動じることなく竜馬も大鎌――ゲッターサイトを構え、迎え撃つ。 「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!! 」 「隼人おおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!! 」 ぶつかり合う互いの気迫。交錯する斧槍と大鎌。入れ替わる両者の位置。 音をたててゲッターの装甲に亀裂が奔った。 互いに向きなおり、再び対峙したその時―― 「落ち着け、二人とも!! 」 ――静止が入った。 大雷凰と真ゲッター。その二つの大型機のちょうど中間に一つの小型機が割り込んでいた。 「リョウ、どういうつもりだ? お前もあの化け物の企てに乗った口か?」 その小型機から送られてくる通信モニターに隼人が映っている。 ――ちっ……。ゲッターに乗ってたのが隼人、てめえじゃないとわな……。 先入観からかゲッターに乗っているのは隼人。そう思いこんだのは間違いだった。 「俺はなぁ、てめえと早乙女のジジイに引導を渡せりゃ、この殺し合いも化け物もどうだっていい」 モニター越しに隼人を睨みつけ言い放つ。 「どういうことだ? 何故、早乙女博士をお前が狙う! 」 「とぼけるな、隼人! 」 「答えになってないぞ、竜馬!! 」 噛み合わない会話の往復。隼人の顔に困惑した表情が浮かぶ。 「いつまでとぼける気だ! 三年前のあの日、てめえが早乙女のジジイを殺し、俺に罪を着せて逃げた!!そのせいで俺はなぁ、隼人!! 永久刑務所で地獄を見たんだ!!! 」 今にも飛びかかりそうな、隠そうともしない剥き出しの憎悪、それが隼人に向けられていた。 「何のことだ? 何を言っている? 」 「うるせぇ! 俺はここでお前を殺し、後ろのゲッターを手に入れて、ジジイに引導を渡しに行く。ただそれだけだ!! 」 吐き捨てるように口にされたその一言、それに反応した者がいた。 「できるものならやってみろ!! 」 YF-19を跳び越え、ゲッターが大雷凰に差し迫る。 「ひっこんでいろ、クインシィ! 」 隼人の言をまるっきり無視してゲッターは駆ける。 クインシィにしてみれば、勇の手がかりを目の前にして邪魔をされたのだ。 彼女の性格を考えれば止まるはずはなかった。 その様子に苛立ちつつ奥歯を噛みしめ、指示を飛ばす。 「ガロード、オープンゲットしろ! 」 「へっ!? な、なんで? 」 突然ふられたガロードが素っ頓狂な声を挙げた。 「無駄口を叩くな! ゲッター2だ!! 」 既にゲッターと大雷凰の間の距離は幾許もない。 ゲッターの背中越しに大雷凰が構え、そして踏み込み、大鎌が振るわれる。 「りょ、了解! 」 「待て、ガロード! 」 クインシィの静止は一歩間に合わず。ゲッターは分離した。 振るわれた大鎌の脇を三機のゲットマシンがすり抜け、大雷凰の背後でゲッター2へと姿を変える。 ゲッター最大の弱点、合体の瞬間。それを狙って竜馬は追撃をかけようとして―― ――やめた。 考えを読んだのか、竜馬の目の前に隼人が立ちふさがっている。 「ガロード、ここから脱出して三人目を探せ。ゲッターの本当の力を引き出さなければ、あの化け物には太刀打ち出来ん!! 」 「わ、わかった」 隼人の勢いに押される形でゲッターは地中に潜り離脱していく。 その中でガロードは、怖ろしいほど目を吊り上げているクインシィを確認して、泣きたい気分に駆られていた。 横一文字にはらわれた大鎌をくぐり抜け、YF-19が大雷凰に肉薄する。 ヒビの入った腹部を確認し、マイクロミサイルの発射管を開いた瞬間、急制動をかけて機体の勢いを殺す。 鼻先を膝がすり抜けていった。続けて振り下ろされるのは肘。 反射的にかわせないと判断した隼人はピンポイントバリアを機体上部に展開。バリアごと弾き飛ばされて一旦距離を置いた。 「勘は鈍ってないようだな、竜馬」 「ずいぶん苦しそうじゃねぇか、隼人」 息が荒く、呼吸が落ちつかない。古傷は確実に隼人の体を蝕んでいる。 だが、この男に泣き言を言うつもりは全くなかった。 「フ……気のせいだ。それよりもリョウ、落ち着いて聞け! 俺は神隼人だが、お前の知っている神隼人ではない。そして、お前も俺の知っている流竜馬ではない」 わずかに竜馬の顔に反応がでる。 「……どういうことだ? 隼人、俺にわかるように説明しろ! 」 食いついてきた。それが隼人の内心の思いであった。 「平行世界。おそらく俺とお前は極めて似通った世界からあの化け物に集められたのだろう」 「何を言い出すかと思えば」 竜馬が鼻で笑う。 「コロニー、MS、NT、オルファン、アンチボディー、グランチャー、どれも俺には聞き覚えのない言葉だ。お前にもないだろう。真ゲッターに乗っていた二人の世界の言葉だ」 反応を見つつ、言葉を紡ぐ。竜馬の説得をあきらめたわけではなかった。 「真ゲッター、それがあのゲッターの名前か? 」 「そうだ。そして、俺の知っている竜馬は真ゲッターを知っている。お前は知らない。それが理由だ。根拠としちゃ薄いがな……」 全てを語り終え、流れる静寂。これが最後の説得であった。その静寂を―― 「クク……ハハ……ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!! 」 ――竜馬のどこか狂った笑い声が打ち消す。 「俺とてめえが違う世界の人間? それがどうした。だとしたら、俺はここでてめえに引導を渡し、他の集められた奴を全員ぶっ殺して、俺の世界のジジイとてめえに引導を渡す。 それだけだ。やることはかわらねぇ」 その言葉を受けて、隼人は竜馬の説得を諦めた。 「そうか。俺もここでお前に生き残る理由を譲ってやるわけにはいかん」 冷静に状況を分析する。 敵は共に癖を知りつくした難敵が一機。 古傷の影響で自機のスペックはフルに引き出せず。体が機体の速度に耐えきれない以上、離脱も戦闘も現実的ではない。 その中で、足掻けることと言えば、体の状態を無視しての離脱。もしくは――ー撃に賭けた撃破。 共に現実的ではないながらその二つしか思い浮かばなかった。 神隼人はリアリストである。ゆえに他の相手なら逃げることを選んだであろう。相手が流竜馬であるからこそ隼人は―― ――ー撃に賭けることを選んだ。 YF-19の右腕にピンポイントバリアが収束されていく。 狙うのは胸部装甲の凹み、コックピットの可能性の高いその一点。 そこに限界まで収束、圧縮させたピンポイントバリアパンチを叩きこむ。 普段と比べ段違いに小さく収束されていったピンポイントバリアはやがて通常のナックルカバーの形状から逸脱し、針の先ほどの点となる。 「行くぞ、竜馬! 」 その言葉を合図に弾けたようにYF-19が突進し、唐突に爆発を起こした。 目の前の突然爆発を起こしたYF-19が黒煙をあげて流れていき、やがて地表に激突して粉微塵に吹き飛んだ。 「隼人おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」 その光景を目の前に竜馬はただ叫ぶ。何が起こったかわからなかった。 眼の端に地に伏したままのフォルテギガスが映った。 その瞬間、矛先はそこに向けられ―― 「貴様かあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!!!」 ――激しい打撃音が木霊した。 一発一発打たれるごとにフォルテギガスの装甲が凹み、蹴り砕かれる。既に鉄屑と化している頭の先から足の先まで余すところなく蹴り砕かれていく。 やがて動力部を損傷したフォルテギガスは爆音を残して跡形もなく消え失せた。 戦場で身を潜め、機会をうかがい、神隼人を遠距離砲撃で沈めた男――クルツ=ウェーバーは一路、その爆発を背景に人知れず離脱、機体を北東へと駒を進めていた。 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~地球最後の日) パイロット状態:憤慨、やや疲労 機体状態:ダメージ蓄積、 現在位置:B-3 第一行動方針:ガロードを問い詰める。場合によってはお仕置き 第二行動方針:勇の撃破(ユウはネリーブレンに乗っていると思っている) 第三行動方針:ギンガナムの撃破(自分のグランチャーを落された為逆恨みしています) 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】 【ガロード・ラン 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~地球最後の日) パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。 機体状態:ダメージ蓄積 現在位置:B-3 第一行動方針:お姉さんを宥める 第二行動方針:ゲッターのパイロットを探す 最終行動方針:ティファの元に生還】 【神 隼人 搭乗機体:YF-19(マクロスプラス) パイロット状況:死亡 機体状況:大破(木端微塵) 現在位置:B-1】 【流 竜馬 搭乗機体:大雷鳳(バンプレストオリジナル) パイロット状態:怒り、衰弱 機体状態:装甲表面に多数の微細な傷、頭部喪失、右肩外部装甲損壊 、腹部装甲にヒビ、胸部装甲に凹み 現在位置:B-1 第一行動方針:サーチアンドデストロイ 最終行動方針:ゲームで勝つ 備考:ゲッターサイト(大鎌)を所持】 【アルバトロ・ナル・エイジ・アスカ 搭乗機体:フォルテギガス(スーパーロボット大戦D) パイロット状況:死亡 機体状況:大破(木端微塵) 現在位置:B-1】 【クルツ・ウェーバー 搭乗機体:ラーズアングリフ(スーパーロボット大戦A) パイロット状況:冷静、脇腹がちょっと痛い 機体状況:Fソリッドカノン三発消費、ファランクスミサイル1/3消費 現在位置:C-8 第一行動方針:ラキの探索 第二行動方針:ゲームをぶち壊す 第三行動方針:駄目なら皆殺し 最終行動方針:ゲームから脱出】 【残り35人】 【初日 19 40】 本編102話 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅